昭和45年、市の図書館で何気なく手に取った本に「明治以降、幻となった片暈かしの墨流し」の一文と小さな写真が掲載されていた。資料提供の欄に、たしか「王子製紙」と書かれていたように思う。この「幻」というミステリアスな言葉にすっかり虜になって、その後、思い出してはこの秘伝の技法を試行錯誤を繰り返すことになってしまった。考えられることはほとんどやり尽くしてもう諦めかけた頃、布団の中で又してもアレコレ考え始めたとき、ピカーンと閃いたのである。飛び起きて仕事場へ一目散。あっという間に成功。何と簡単にできることか。人間という者は、同じようなことを考える生き物である。こんなに簡単な技法であれば、きっと何処かで私と同じように思いついた人が居るはずだと思う。おおげさに技法公開などというのは、ちょっと恥ずかしい。ただ今まで何十年の間、このなぞなぞを解いた人に会ったことは無い。画集「箔」の中にもこの技法を使用した作品を掲載しているが、未だ質問を受けたことは無い。この片暈かしの墨流しに成功した人は是非連絡をして欲しい。苦労話など語り合えたら嬉しい。
P1090927

P1090928

P1090930

P1090931

P1090932

P1090939

P1090940