「生きていた頃、あの世というものをアレコレ色々考えもし、人にも訊いた。これでもわしは、ちょっとした思索者を自認していたものだが、こんな状態を考えたことはなかった。なんじゃ、この手は、この姿は。見るに耐えん。せめてもの慰みは、何やらその辺に、ゴミのようなものがあるので、身体だけは覆うことが出来たわいな。
このひらひらしたゴミは一体何なのだ。色んな形、色んな様態のものがある。・・・むむ・・。

そうか、解った。このゴミは、植物の亡骸なのか。それでこのゴミをまとうとなにやら、もやもやざわざわするのじゃな。何を言っているのかはよく解らんが、穏やかな心持ちがする。その点、人間たる我が輩は、儚くなった今もうだうだ考えとる。全く始末におえん。

ここは、どうも時間というものが無いようだ。夜も昼も無い。ということは、実態としての空間も無いはず。では、わしのいる場所は一体どこなのだ。時間は無限にある。まあ、ゆっくり考えよう。」
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