「ちょっと、あんた何やってんのよ。この間まで、ブツブツ言ってたのに、急に、あちこち出かけて、挙げ句の果てに、その格好は何よ。まるで壊れた怪獣じゃないの。」
「皆の言うことを聞いていて、わしは悟ったのじゃ。ここでは、私有財産も社会常識も学歴も無い。国家というものも無い。有るのは、ユニークな個性だけなのじゃ。わしはわしでありたいが、今までこれが自分だと誇っていたものは、人からの受け売りか、単なる屁理屈でしか無かった。この骨だけの姿は丸裸もいいところじゃ。そうなのじゃ。ここでは、骨だけが総てなんじゃ。ユニークさも、すべては骨なのじゃ。だから、わしは走り回って、物々交換ならず骨骨交換をして、この様なユニークなホネホネルックと成るに至ったのじゃ。なかなかの物じゃろう。」
「あんたって、本当に救いようのない馬鹿ね。なーんもしなくたって、あんたはあんた、わたしはわたし。ユニークなんてのは、自分が自分で無いような不安な凡人達が考え出した幻想よ。それより、あんたの発想がおもしろいよ。それをユニークと言えなくもないけどさ。それより、その姿、元に戻るの?」
「骨骨交換した怪獣達、もうどこに行ったか解らんよ。この格好へんかな。わしはイケテルと思ったのじゃがなあ。」
「あんたが、いいのならそれでいいのよ。ちょっと不便そうに見えるけれど。」
P1100140