「おまえ、なんだか顔色悪いぞ。近頃、元気も無いし。ここへやって来た頃は、もの凄く元気だったじゃ無いか。悩み事があるなら、一気に吐けよ。すーっとするぜ。」
「いやなに、俺の思い過ごしかもしんないけれど、ここの世界ってのは、永遠にあるのかなって、ひょっとしたら、ここから先に天国とか地獄があるんじゃないかなと、まあ、ふとそう思ったんよ。だってよ、時々周りのやつが、ちょくちょく居なくなって、そのままってことよくあるよな。で、誰に訊いてもだーれも知んない。一体どこに消えたんだよ。教えてくれよ。」
「人の番してるわけじゃ無し、そんなの知らねえよ。じゃあ、ここは一体何なんだ。あの世の中継地点かよ。バス停かよ。切符でも買うのかよ。おまえ、往生際が悪いんだよ。」
「でもね、確かに変な事が時々あるわね。つい最近も、随分長い間ここに居たんだという人が、ふっと消えるように居なくなったのよ。きっと何処か散歩にでも行ったんだろうな、と思ってたのよ。でもね、消えた人の近くに居た人が、私にアレコレ訊くので、こちらが訊きたい位だって言い返してやったわ。そうしたら、真剣な顔して、こんな事がいつも起きているらしいと囁くように言ったもんだから、私、何だかぞっとしたわ。それに、よくよく考えてみたら確か、こんな会話、前にも何回かしたことがあるって、思い出したから余計に寒気がしたのよ。」
「ここは、ホントにあの世だなんて誰が言ったんだよ。」
「そんな・・・ 誰も言ってないけれどよ、この姿見たら誰だってあの世に来たんだと思うって。」
「でもさあ、こんな状態がずーっと永遠に続くって、思いようによったら地獄かなって思わない。何か変化あったほうが良いかもね。」
「でもよ、地獄って変化は、願い下げだよな。俺は、このまんまでいいよ。変化嫌い。」
「誰か、物知りの奴に訊かなくちゃな。」
「情報を集めるのよ。」
「どこでだよ。誰が知ってんだよ。厭なことなら知りたくねえな。」
「案ずるより産むが易し。行動有るのみよ。」
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