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先日、古書店で戦前の教科書を見つけた。復刻版ではあるが、初めて見る「尋常小学国語読本」なるものに、興味を覚え、300円という値段の安さも気に入って買い求めた。大正6年、大正7年、昭和7年の教科書の最初の3ページ位を比較してみてみる。

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昭和7年の教科書は、カラーでページ数も多い。

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昭和7年に作成された。

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この「サイタ サイタ サクラガサイタ」というのは、両親からよく聞かされた文章である。

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徴兵制があった戦前のこと、「ヘイタイ」という言葉は当たり前なのだろう。

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「ヒノマル ノ ハタ バンザイ」と言う表現も、今の教科書ではお目にかからない。

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こちらは大正6年の教科書。カラーではない。ページ数も少ない。

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一番初めに習う文字は「ハナ」。とにかく、戦前の教科書について共通していることは、最初にカタカナを習ってから、ひらがなを習う。戦前の教科書を使った人の話だと、「文字としてはカタカナの方がやさしい。平仮名は、曲線ばかりで出来ているので難しい。」ということである。もっともである。

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初めは、単語からと言うことらしい。内容的には、子供らしい童話が主になっている。

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ところが、大正7年の教科書になると、様子が、がらりと変わってしまう。単色刷は、前年度と同じであるが、ページ数が極端に減り、内容も軍国主義的な傾向が強くなってくる。

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初めのページには、文字はない。絵ばかり15カットが続く。きっと先生がこの絵を見せながら黒板に文字を書いたのであろう。

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そして、初めて書かれてある文章が、「テンノウヘイカ バンザイ」である。

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次のページは、「キグチコヘイハ テキノタマニ アタリマシタガ シンデモ ラッパヲ クチカラ ハナシマセンデシタ」。

大正デモクラシーという言葉を聞くと、一見、民主主義が力を持ち始めたかに見えるが、第一次世界大戦を契機として、国家が国民を統制しようとする傾向がこの時期から始まるのである。大正7年の教科書の劇的な改変こそが、政権による反動の端緒であろう。

同じように、集団的自衛権がエスカレートしないことを祈るばかりである。