P1110152

以前にもこの絹扇について書いたが、これは、1970年代ぐらいの絹扇であるが、丁寧に作られているが、絵付けがいまいちである。

P1110153

前述の扇子に較べると、この絹扇は、総ての点において、優れている。何よりも、絹地と扇骨の部分に描かれた絵は、総て手書きである。

扇子の開け閉めも、親骨だけを持って、シャラーンと一気に出来る。絵付け自体も、恐らく日本画の素養のある人の手になった物とうかがえる。墨と胡粉と水干で描かれた絵の具の濃淡が、実に見事である。更には、赤い葉と黒い葉の構図のとりようがよく計算されており、扇全体の構図が、要を中心としていることなど、最近の扇の素人臭い趣とは一線を画している。

P1110154

1980年代に、京都のある扇屋から貰った布扇で、絹ではなく、木綿の布を使っている。その後、木綿のハンカチーフを用いた布扇が出始めた。初期の木綿の布扇は、ハンカチーフを使っていなかった。木綿の反物を切って扇に使っていた。私が、手作り市にハンカチーフを使ったお扇子を出品した頃にはまだ無かったと思う。こう言えば、何か元祖の様に聞こえるが、随分、色んな扇を作ってきたので、その分、扇屋さんに色んなアイデアを提供してきたように思う。中には無断で、私のデザインをアレンジして商品化しているお店もある。京都の伝統産業には、著作権という概念がないのかわざと無視しているのかどちらにしろ、「伝産」と聞いただけでも、身の毛が立つようになってしまった。

 

P1110155

この布扇は、絹ではなく、木綿である。まだ100円ショップが珍しかった頃、メイドインチャイナの布扇である。中骨が、扇面の布に合わせて色を変えてある。こんな扇を日本で作ると100円では済まない。

P1110156

これも、同じ頃に買った100円ショップの布扇である。中骨が一本ずつ交互に色変えしてある。今頃の100円ショップでは、もうお目にかからない。中国の人件費や物価も上がったのだろう。

P1110157

 

左3本は、中国製、右3本は日本製。左3本の中国製扇が薄く見えるのは、中骨の数が少ないからである。右3本の日本製扇を較べると年代順に分厚くなっている。

P1110169

布扇が分厚くなるなる理由は、3つある。骨が厚い。布が厚い。そして、布の始末に貼られたテープが大きくて厚い。3拍子そろうと、もの凄く分厚い布扇が出来るわけである。左端のような絹扇には、近頃お目にかかったことがない。それ故か、お扇子を買うときは、骨董市かリサイクルショップばかりである。戦前の良いお扇子を見つけたときは、鬼の首でも取ったかのような気分になる。