交通事故は他人に起こるもので自分とは関係ないものと漠然と思っている人たちは、大きな勘違いをしている。
いくら自分が安全運転していても、何時居眠り運転や飲酒運転の車が突っ込んでくるかもわからないのである。


20代の頃、夫が運転していた乗用車に乗っていて、ジャリトラと正面衝突したことがある。こちらの車軸はくの字に折れたが、トラックの方はパンパーにかすり傷という状態であった。運転席の夫は瘤ができただけ。一方私は血まみれで最初は気絶していた。トラックの運転手と夫は血まみれの私お見てパニックになり、シートベルトを外さないで二人で私の手を引っ張ったものだから痛くて私は気がついた。やっと車から出てボーッとしていたら、救急車やらパトカーとかがやって来て大騒ぎ。事故った場所の地名がウソみたい。ツヅキグンウッタという地名。一瞬「頭突き打った」かと勘違いするほど。


事故の原因は両方の運転手の前方不注意ということであった。山道のカーブを曲がった途端にドーンと衝突。トラックが中央分離帯を超えて走ってきたのが主な事故原因。夫もまたカーブを曲がったところからトラックが出てこようとは思ってもみなかった。私だけが山道の下の方からトラックが上がってくるのに気付いていた。運転手二人のバカ力でシートベルトをしたまま引っ張られたため肩から胸にかけて皮膚が擦り切れていた。この傷もなかなか治らなかった。それよりも、ダッシュボードで額を思いきり打ち付けてY字型に切れていた。他もあちこち打ち身なんかもあったが、頭がガンガンして麻酔をかけられて傷の縫合をした。医者は、「女性なので傷は細かく縫っておいたよ。」と言われてちょっとホッとした。むち打ち症にもなって首に白い輪っかをはめられた。第7脛骨がずれて今でも後遺症がある。交通事故は、その時だけではなくその後の人生まで狂ってしまう人がたくさんいる。

示談金で、欲しかったニコンのカメラを買ったけれど、気持ちは晴れなかった。


抜糸の時、医者が「きれいに治っているよ。」と言って鏡を見せてくれたが、フランケンシュタインのようなY字型の傷跡を見て思わずワッと泣き崩れてしまった。周りの皆んなは「もう、結婚していることだし・・・」と言って慰めてくれたが、私は「離婚するかもしれないし。」と言い返しながら泣いた。女は売り物なのか。全く馬鹿にしている。その後の治療のかいもあって今ではほとんど見えない程度になったが、当時警察で会った女性は、交通事故で顔がぐちゃぐちゃになってデコボコで酷い有様であった、今でもあの方はその後どうしているのだろうかと思い出す。

傷は癒えても心の傷は治らず、その後、車が怖くて乗れないし、やっと乗れるようになっても大きな車とすれ違う度に目が回って気分が悪くなった。今でも不必要な乗車は断る。国内の車は年々増え、過去最高になったときく。色んなキャンペーンや法改正のお陰で交通事故は減っていると言うが、軟弱な人間という生き物はそんなスピードで走ったりぶつかったりすれば命に差し支えるし、たとえ助かっても後遺症は残る。自動運転が脚光を浴びているが、全車両が自動にならないと駄目なんじゃないかと思う。必要もないのに命や人生をかけて自動車に乗る必要なないというのが私の結論である。

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