「我、自閉症に生まれて」は、世界で初めて、自閉症の人が書いた本である。著者は、1947年生まれのアメリ人女性である。当時は、自閉症についての認知度も低く、3歳時の時に脳損傷とみなされたが、6歳時になってやっと自閉症と診断された。

自閉症の本人が、幼少の頃から成人に至るまでを、回想して出来る限り詳しく書いている。この本が自閉症の研究に与えた影響は大きいと思われる。本人も言っているように母親の献身と愛情の大きさが、今ある彼女を支えたと言っても過言ではなく、早期の療育の必要性が、その後に大きく影響することを識ることも出来る。


自分自身の神経的な発作や触覚刺激の対する過剰反応を抑制するために、牛桶からヒントを得て、17歳で「締めつけ機」を試作し始める。現在、改良された「締めつけ機」は様々な施設で利用されている。1975年アリゾナ州立大学の動物科学分野で修士号、1989年イリノイ大学の動物科学分野で博士号をそれぞれ取得。コロラド州立大学助教授。「グランディン・畜産動物扱いシステム会社」社長。米国の3分の一の食用牛は、彼女が設計した屠殺場や器具で処理されている。と、ウラ表紙に書かれている。


巻頭の辞で、ダーナ・ウイリアムズは、「読者は、施設に永久措置となっていたかもしれない重度の障害児が、生き生きした生産的な、尊重される大人となって、自閉症の分野で世界的権威者になるまでの、珍しい経験に満ちた成長過程を味わえるであろう。」と書いている。

この本は、自閉症に関心がある人だけが読む本ではない。彼女の辿った道筋は健常者であっても参考になるはずである。苦悩、挫折、希望 そして、諦めず努力する姿は、すべての人にとっても感動を呼ぶものである。


自閉症の人は、視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚など5感が、大きく一般の人から外れて過敏である。それ故、発作が起こったりパニックになる。自身の神経過敏をコントロールするために彼女が考えついた締めつけ機である。

彼女の幼少期は、本人も述べているように、「私は3歳半のなるまで、喋ることさえできなかったのだから。それまでは、キーキー声をあげたり、のぞき見をしたり、ハミングするようにブツブツ言うことが、私のコミュニケーションの方法だった。」という悲惨な状態であった。

その彼女が、色んな経験を積んで、「大人になってから、私は自分の性格をコントロールすることを学んだ。その方法はいたって簡単。自分自身を決して興奮させないことである。他人と口論はしない。厄介そうな状況からは離れることにしている。私はもう自分のかんしゃくを野放しにはしたくない。私はかんしゃくが、持ち物、友情、家族を破壊するのを、十分に見てしまった。」という結論に達している。

この本を読んで、正常とか普通の人というのは一体どういう定義なのかと考え込んでしまった。

親になる人は、特にこの本を読む必要がある様に思う。大人になっていない人が子供を育てると、負の連鎖が起こる。この本はそういう意味でもきっと参考になるはず。私ももっと早く読めばよかったと後悔している。