カサンドラと言うのは、ギリシャ神話の王女の名前で、太陽神アポロンから予知能力を与えられるが、反感をかって、其の予知を誰からも信じてもらえないという呪いをアポロンからかけられる。

このカサンドラの神話に似た状態から、アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)である配偶者を持つ妻又は夫が誰にも理解されずに被る精神的症状を言う。

漫画家の野波ツナさんは、アスペルガーの夫との意思疎通だ出来ず、追い詰められた挙句、うつ病を患ってしまう。ネットで夫の発達障害であることや自身のカサンドラ症候群のことを知り、認識を深めるに至り、漫画に事の顛末を書いたのが、一冊目の「旦那さんはアスペルガー」である。その後の続編として、「旦那さんはアスペルガー・奥さんはカサンドラ」を書かれた。


「奥さんはカサンドラ」は、一冊目の「旦那さんはアスペルガー」と重なる部分が多く、カサンドラ症候群という妻の立場で書かれた書物を読みたい人の場合この「奥さんはカサンドラ」一冊だけで十分である。よく書かれているが、野波ツナさんの旦那さんはおとなしい型のアスペルガーなので、積極型のアスペルガーの場合はもっと問題が違ってくるはずなので、其の場合は、もう少し専門的な本を読んだほうが良いかもしれない。

KEISUI ART STUDIO | 漫画・野波ツナ著「旦那さんはアスペルガー」を紹介

アスペルガー症候群(AS)の人は、共感性に乏しく配偶者の立場にたってもの事を考えて思いやることが出来ない。それ故に、配偶者はコミュニケーションが噛み合わず自信を失って、精神的に追い詰められて行き、精神的2次障害(偏頭痛、体重の増加または減少、睡眠障害、自己評価の低下から、パニック障害、抑うつ、無気力へ)まで発症してしまうことがある。


夫婦は所詮他人であるから、現状認識ができれば距離を置いて客観視することが出来る。別居するなり、離婚するなり、夫婦でのカウンセリングに通うことも出来る。しかし、経済的な理由から離婚も出来ず耐えている妻も多いことであろう。カサンドラが夫の場合は、簡単に離婚するケースを多く見てきたが、これもやはり夫の経済的自立故か。


ブログを読んで悲惨なのは、夫と同じく子どもたちも其の遺伝でアスペルガーで、子供が成人してうつ病になってしまったケースである。母親は夫とは精神的に距離を置くことは出来ても子供との情愛はそうたやすく割り切れるものではない。根の深さで言うと親子の葛藤のほうが問題であるが、まだまだ社会的に注目されていないのだろう。その内、親子のケースにも名前がつくことになると思うが、それまでには、いくつもの悲しみや苦悩が繰り返されて闇から闇へ葬られてくることだろう。新聞やテレビで親子絡みの事件を見ていると、其の背後には他人には理解されない発達障害の問題があるのではないだろうか。精神科医でありながら、「私は発達障害の専門ではないので、診ません。」と豪語する医者が多い昨今では、誰がこの悲惨な現実を救えるのだろうかと思う。

最近では、精神疾患の大半の根底には発達障害があるという見方が主流になりつつあるにも関わらず、相も変わらず、100年も前に言い出された統合失調症や双極性障害などという名前を振り回し、製薬会社の言うままに大量多剤の服薬を患者に強いる心療内科医が駅前に看板をあげて名医を気取っている現状がある。この現状をなんとか出来るのは、ネットの情報公開であると思っている。今思うと、私の亡き夫も消極型のアスペルガーであったような気がする。ただ、軽症であったため、生活をする上には差し支えはなかったが、妻の私は誰にも理解されず虚しかったの一言である。