私は2つ目のゴミ箱さん。この2つの自販機を担当しているの。どこにいるかって?


ここよ、ここ。自販機と壁と自転車に囲まれているのですぐには見えないの。


なんでこんな事になったかと言うと、初めはもっと通りに面した所に立っていたのだけれど、ある日、風がビュンビュン吹いて私は吹っ飛んでしまったの。そこへ自動車が通りがかって跳ね飛ばされて気がついたら、顔がめちゃくちゃ痛くて泣いていたの。


ご主人様はこんな私を見てビックル仰天。「可哀想に、もう二度とこんな思いはさせないから。」と言って、私の周りを壁と自販機とご主人様の自転車で厳重にガードしてしまったの。


その上、まさかの時のためにモップとスティールの角材を配備してくれたのよ。私のためを思ってのことだとはわかっているのだけれど、近頃では空き缶を入れてくれる人もほとんどいなくなってしまって、お腹がペコペコ。目から入れてくれとは言わないから、割れたこの大きなお口からでもいいから空き缶を放り込んでほしいの。お願いよ。このままだと、栄養失調で倒れそう。


先日なんて、ひどいのよ。小さな子供が私の顔を指差して「こわーい、怖いよー。ワーン、ワーン。」と泣き始めたら、手を引いていたお母さんが、「なによ、ただの小汚いゴミ箱じゃない。僕ちゃんを怖がらすなんてとんでもないわ。」と私を睨みつけて行ってしまったの。一体私が何をしたというのよ。あんまりだと思わない。「こんな私に誰がした」って言いたいわ。
あれはれっきとした当て逃げよ。警察はなにをやってるのよ。どうでもいい交通違反ばかりに励んでいないでこの悪質な当て逃げ犯を捕まえてよね。全く嫌なっちゃう。

大きな口が出来たせいらしいけれど、最近、いつも何かぺちゃくちゃしゃべくりまわっている。愚痴も増えたみたい。

あーあ、お腹が空いた。喋りすぎて喉も乾いたわ。その上、風通しが良くなって何だかスースーして仕方ない。秋風が身に染みるの。ブツブツ、ブツブツ・・・・・。