奥様方の井戸端会議はそりゃニャンニャンとかしましい。内容の殆どは家族の愚痴とご近所、知り合いの噂話。その中でも、亭主の愚痴は殺気立ったものがあった。


いくらしゃべくり回しても解決の糸口は見つからない。ひたすら喋るだけでいいのだ。それだけでもストレスの半分は解消するらしい。そして毎回たどり着く結論は、「子供の出来が悪いのも、嫁姑の喧嘩も、毎月赤字なのも、全ては亭主のせい。」ということになる。

天から猫神様はこの様子を見ていて「これではいけないニャン。」とお思いになった。


そこで、猫神様はほんのちょっと魔法のしっぽを振ったので、今回はチョーっと違っていた。

「学校で、ちゃんとこんな事教えてくれていたら、私達こんな苦労しなかったニャーン。せめて、結婚相手の選び方とか、子供の育て方なんか前もって知っていたらニャン。」と、言い出した猫奥様がいたのだ。


そのおニューな発言を受けて、もう1匹の猫奥様も言い始めたのであった。

「そうよ、あんな建前だけの道徳なんかをやっている暇があったら、親元を離れてどうやって暮らしていくのか教えてほしかったニャーン。お金の使い方なんてよく知らなかったから、ひどい思いをしたニャンニャン。借金のこととか、ローンのこととか、貯蓄のことなんかもっと教えるべきニャン。そう思わニャイ?」


「そうニャンよ。病気になってからじゃ遅いニャン。とくに依存症なんかになってしまったらもう泣くしかニャイニャン。失恋してうつ病になってしまった時は、もう少しで自殺しかけたニャン、私。こんなことももっと早くに知っていたらと今では思うニャン。先生たちはどうでもいい世界史や役にも立たない小難しい数学をグダグダ言ってないで、もっと実際の生活に役に立つこと教えたらどうニャン?」


『あたくし、そばで聞いているにちょっと疑問に思うニャン。誰がその教科書や副読本を書くのかい。そしてその内容を文科省は審議するのかニャン。かなり難しいニャンニャン。国会、荒れそうニャ。文科省なんてできるだけややこしいことは避けたいに決まっているニャン。それにそんな複雑でむずいことをあの学校の先生たちが教えられると思ってるのかニャン?』


『私いいこと思いついたニャン。それって、塾で教えたらどうかニャン。その参考書ってきっとベストセラーになるかもニャ。電子書籍で出すニャン。失敗談だけの特集号を小学生や中学生向けに出版するのいいかもニャンニャン。あたしってアッタマいいニャーン。』

猫神様のお言葉「こんな風に考えていたら、勉強ってなんの為にするのかではなくて、何の勉強をするべきかのほうが大切だって分かってくるはずニャン。」