友人が伊勢志摩のお土産だと言って真珠糖なるものをくれた。松井真珠店が売っている特別誂えのお菓子である。


糖といっても和三盆で作られた干菓子である。


製造元は菓匠・(株)桔梗屋織居で、松井真珠店の依頼でこの干菓子を作ったのである。
御菓子処「桔梗屋織居」


包装紙を剥がすと真っ白な箱が出てきた。


蓋を開けると説明書と干菓子。


「古風にして小粋なり
優雅にして美学なり
ふと佇まらせるものは
なにかしらん」

これはお土産でも単なる茶菓子でもない、記念菓である。なんの記念なのか。


松井真珠店の初代の茶菓子へのこだわりから作らせた木型を3代目が見つけ18代目に至って実現した曰く因縁付きの干菓子である。これが真珠屋さんがお菓子を売っている記念の理由である。


箱の中には和紙に挟まれた真珠貝の形をした干菓子と同じく丸い真珠が入っている。


真珠貝の端っこが非常に薄いので所々欠けている。これは一つずつ包装する必要があるのではないかと思われる。この干菓子を見た人は誰もすぐに食べようとは思わないであろう。まさに「佇む」のである。そんな不思議な繊細さのあるお菓子である。口に入れるとスーッと溶けていく。人魚姫が泡となって消えていくイメージがふと浮かぶ。