ここんところ、地上げトラブルに巻き込まれて「反社」、「フロント企業」、「ヤクザ」についての本を読む機会が多くなった。その中でも、今回の高浜原発関電トラブルに関係するかと思って読んだのがこの「ヤクザと原発』という本である。

この本を読もうと思ったきっかけは『ヤクザにとって原発は「最大のシノギ」である』といういちぶんであった。


著者は、ジャーナリストで初めて作業員として福島第一原子力発電所に潜入した。
この本の良さは、著者が実に正直にいろんなことを包み隠さず書いていることである。

ただ、現場にいると全体像を客観的に見ることが難しいというのも事実であろうと思う。

この本を読んで原発や発電会社に対する隠蔽体質の根源が何なのか見えるような気がした。今回の関電トラブルについても色々調べてみたが、テレビニュースの薄ペラさに日本マスコミの事なかれ主義がよく分かった。


この本「ヤクザと原発」を読んで、じっくり考えたが、日本社会の構造においてヤクザ組織はその底辺に組み込まれていて原発においては不可欠な存在となっている事実である。

現代社会で電気は文明社会を維持する上でなくてはならないものである。いくら電力会社を非難しようと電気は必要である。それと同じ様に、電力会社にとってヤクザは不可欠の存在なのである。表向きは排除すべき存在でありながら、裏ではその危険な現場を支える作業員を手際よく手配してくれる企業なのである。

「風評被害」というスローガンのもと原発の現場の事実が隠蔽され、エリートと権力のある者、力のある者が、弱肉強食の原理に則って原発を運営しているのである。ホワイトカラーのエリートもヤクザの親分も何ら変わるところがない。その上、本質を語ろうとしないマスコミの責任は重い。
大学の科学者なら、放射能の線量と汚染度の違いについて十分な知識があるはずである。何故もっと声を大にして叫ばないのか。

ウィキペディアによると
「放射能汚染は、表面、あるいは、材料内や空気中に存在する可能性がある。アメリカ合衆国の原子力発電所では、放射能と汚染の検出と測定はしばしば認定保健物理学者(Certified Health Physicist)の役目となっているが、日本の保健物理学会にはそのような認定資格はなく、日本の国家資格としては作業環境測定士がこれに相当する。しかし、法定の測定以外、特に日常的な測定の場合は放射線業務従事者自身が行うことが一般的である。」

とあり、原発の放射能汚染は通常、作業員に任すということである。即ち、どうでもいいということになる。

放射能汚染物質の量を表す単位がベクレルで、人体が受ける放射線の量がシーベルトである。これらの測定器の機種や扱い方も、作業員の無知につけ込んで様々な誤魔化しが行われていたようである。

更には、作業員の被爆許容量も上限が次々と挙げられていった。そして、一度に大量の放射能を浴びたとき直接被害を受ける血液癌のために前もって行う造血幹細胞の保存も政府によって拒否された。

人の命が、こうも軽々しく売り買いされる原発事故の現場に唖然とする。売り買いしているのはヤクザだけではない。電力会社のエリートたちも同じ穴の狢であり、それをもっと詳しく報道しないマスコミにも責任がある。原発誘致や運営にも似たような構造が存在する。原発のあるところ札びらが舞い、人はお金に麻痺していく。今回の高浜原発における関電の不祥事もほんの表層部に過ぎない。根は深い。この根の深さをマスコミはいかに報道するのであろうか。

この本はわかりやすい言葉で書かれている点も良い。原発と日本の社会構造について知りたい人は是非一読を。NETの情報は広いが浅いのが欠点。