SARSジュニアは悪名高き世界的有名人。
「新コロって、あなたのこと?」
『うん、でも正しくは、SARS-COVID-2なんだ。新コロなんていう呼び方はちょっと感じよくないと思わない?』
「あなたをどう呼ぼうと、あなたは感じ悪いのよ。症状がてんでバラバラな上に、あっと今に重症になって手の施しようがなくなってしまうでしょ。今までにない展開をすることを人間は恐れているのよ。あなたのおかげで私達、この冬は宿主の人間を探すのが大変だったわ。だって、みんな手洗いはするしマスクはかけるしで、私達入り込んで増殖するチャンスがなかったのよ。死活問題よ。」
「コロナファミリーって知ってる?」
『知んない。何それ。僕にも分かるように教えて。僕、生まれたばかりでな~んにも解らないんよ。』
「コロナファミリーは、みんなで6種類だったのよ。そのうち一寸ブヒブヒ言わせて世界的に有名になったのが、SARSとMARSなの。後の4種はウイルス性の風邪で済まされているわけね。
そこへ、第2のSARSのあなたが生まれてきて、私達のファミリーの中でおおきな顔してのさばり始めたってわけよ。皆、あなたのことを嫌ってるわ。」
『僕、何もしてないよ。』
「あなたの性格よ。あなたは次々姿を変えて人類を悩ますから、人間達はビビって、コロナウイルスについての研究を必死でやり始めたわ。薬やらワクチンやらで、私達ファミリーは震え上がっているのよ。インフルエンザの影に隠れてこっそり生きてきたのに、あなたのおかげで脚光を浴びる羽目になってしまったわ。』
「おい、お前が新コロか。お前のおかげで俺らの命まで怪しくなっちまったんよ。どうしてくれるんだ。責任をとってもらおうじゃないか。」
『ぼ、ぼく、責任たって、・・・うえーん、うえーん。』
「この新コロ、やっつけてしまおうぜ!」
「ボコボコにしてやろうよ。」
『助けてー、テケテケ~。』
『こーら、コラコラ、お前たち、うちの子に何してるんだよ。離してもらおうか。』
「あっ、SARSの親分だ。」
「いや、何、一寸ふざけて遊んでたんだよ。なー、ミンナ。だろ? だろ・・・」
『パパなの?パパアー、会いたかったよ-。僕、SARSのジュニアなの。』
『人間なんかに負けるなよ。あやつたちは、油断も隙間もないからな。そいでも、なかなか足並みが揃わなくて苦労しているワイ。ニホンのように頼んないリーダーだと、俺らはウハウハなんだがなあ。長生きしたけりゃ日本に行くことだなあ。あそこはいいぞ、コロナ天国だよ。感染検査をほとんどしないから、俺等は誰にでも入り込んで増殖できるってもんだ。』
『パパ、分かったヨン。僕、コロナ天国の日本に行くよ。』