絶滅したネアンデルタール人は約50万年前から4万年前までヨーロッパ大陸や中東などに住んでいたが、現生人類ホモサピエンスは交雑を繰り返しながら南アジア方面にも広がっていった。ヨーロッパ人やアジア人の遺伝子ゲノムの約2%はネアンデルタール人に由来し、メラネシア人では6%にも及んでいることが分かった。またヨーロッパから北アフリカに戻った現生人類はアフリカの現生人類にネアンデルタール人の遺伝子を残したこともわかっている。ネアンデルタール人と交雑した現生人類はその後も地球上にひろがっていったことがDNA解析によって判明している。今日でもネアンデルタール人の遺伝子があちこちに散らばりながら20%も生き残っているのである。
ネアンデルタール人の身体的特徴は、白い肌で赤い髪、「胴長短脚」の体型で骨格は非常に頑丈で骨格筋もよく発達していたという。


現生人類がネアンデルタール人より受け継いだ遺伝子によって新型コロナウイルスの重症化リスクを3倍にも高めていることが分かったのである。このネアンデルタール人の遺伝を多く受け継いでいる国は南アジアでインドやバングラディッシュで、この地方でのコロナ重傷者が多いのもこの遺伝的ファクターによる可能性も否定できないと科学者たちは見ている。

このコロナ重症化のネアンデルタール人の遺伝子は、ヨーロッパでは約に16%に対し、南アジアでは地域によって約50%に達し、東アジアではわずか4%であり、東アジア地域において重症者が少ない一因とも考えられるようである。


一方、これとは反対にネアンデルタール人の遺伝子にはコロナの重症化を予防する遺伝子もあることがわかっている。この遺伝子は、現代人の12番染色体の上にあり、新型コロナの重症化リスクを約20%低下させる働きがあるという。ネアンデルタール人に由来しているこの遺伝子は、、新型コロナウイルスが感染した細胞の中で、ウイルスの遺伝情報を分解する酵素の働きを高めていることが分かっている。

ヨーロッパや南アジアの人たちが“重症化”遺伝子と“予防”遺伝子の両方を持つのに対し、日本人など東アジアの人は幸運なことに“予防”遺伝子しか持っていない。“重症化”遺伝子は“予防”遺伝子より5倍ほど影響力は強い。

これらのネアンデルタール人由来の遺伝子が、全体として新型コロナの重症化ファクターとしてどれほどのウエイトがあるのかわからないが、年齢、性別、糖尿病や喘息といった基礎疾患があるかどうか、密接な身体的接触などの影響も無視できないほど大きいことも確かである。