平野部では、紅葉が鮮やかで、秋満開といった感がある。しかし北の地方や山間部、高度の高いところでは初雪が次々とみられるようになってきた。
関西の街中で育った私は、紅葉の山に雪が降るような景色を見たことがない。日本の景色は、季節の変わり目といううつろいの風情が美しい。日本人の繊細さをよく表している。


紅葉といっても色んな種類がある。紅葉の葉の形が全く違っている。


12月に入ると街の飾りつけはクリスマス色一色になる。

クリスマスカラーは緑に赤と白がオーソドックスなカラーである。扇で日本調のクリスマスを表現できないかと試行錯誤した結果、赤と緑の雪を白い雪に加えてアレンジして扇に散らしてみた。一見すると秋の紅葉が舞い散っているように見える。秋と冬の移ろいの風情としての「初雪」である。


やがて紅葉の色合いは消えて、山は常緑樹の深緑となり、気温の低い日は雪がちらつくようになってくる。


そして年を超えると、北国では本格的な冬の到来である。土の色は次第に消えて、白いじゅうたんで覆われていく。関西でも、昔は土道が多く気温ももっと低かったから、朝は霜が降りてその上を踏みしめて学校に通ったものである。そんな思い出を扇で表現して扇を苦に合わせて画像にしてみた。

日本海側の山間部で育った知り合いの女性は冬になるとうつ状態になるという。学校に通うのは吹雪との戦いであったという話をよく聞かされた。雪が降ったと言って騒いでいた大阪の子供時代とは大きな隔たりがある。

私の描く雪は温かい雪である。積もることはめったにない牡丹雪が多かった。

今年の冬は雪が降るだろうか。