岡田尊司著「発達障害と呼ばなで」は、発達障害と十把一からげに診断名を安易につけたがる現代の風潮に警鐘を鳴らしている。


「発達障害と診断されながら、実際は愛着障害であるケースが数多く見過ごされている。」と岡田氏は主張する。

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「三つ子の魂百まで」と言われるように、幼い時ほど保護者の影響を大きく受ける。
心の安定こそが人格形成の基盤を形作る。此の安定を阻害された状態が愛着障害である。


此の目次を見れば、発達障害を違った視点で見ようとしているのが分かる。


愛着障害は一見すると発達障害と同じような症状を呈する。


発達障害と愛着障害の見分けは簡単にはつかないが、愛着障害の場合は、適切な対処があればかなりの改善が見られることである。


いじめや虐待も又、発達障害と同じような症状の原因となりうる。

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一見して、恵まれた家庭で育ったように見えても愛着障害は起きる場合がある。

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絶え間なく両親が諍いを起こしたり、愛情の冷めきった結婚生活を送っている環境で育つと、やはり愛着障害を起こす。子供は周りの環境に大きく左右される。対人適応能力は、生まれつきの発達障害ではなくとも起こりうる。この場合、両親は子供に対して虐待したり養育遺棄をした覚えもなく全く自覚がない場合が多い。両親の仲の良さこそが、子供の健全な心の愛着を形成するのである。心の栄養は愛着である。

私の周りで、両親の不仲が原因で子供が発達障害のような状態に陥ってるケースをいくつも目にしてきた。この場合子供はすべてのことに対し否定的な考えを持ち自己嫌悪に悩むのである。一方、発達障害でありながらも両親の愛情にはぐくまれて育った子供は現実を肯定的に受け止め生きることに対して積極的であり、幸福感が強い。

しかし、「愛着障害は対処の仕方如何で大きく改善される。諦めてはいけない。」と、この本の著者は言う。