「僕達どうして穴が開いてるのかな。」
「風通しが良くっていいじゃない。」


「物を知らねえやつはほんとに困る。レンコンていうのは、穴が開いてるから世の中を見通せるってんで、むか~しから人間がありがたがってくれるのさ。」
「でも、どうして穴が開いてるのかの説明にはなんないよ。」


「レンコンていうのはな、ドロ水の中に横になって埋まっている地下茎なのじゃ。だから酸素をこの地下茎に運んで栄養を蓄えなくちゃならん。空気の通り道がこの穴なのじゃ。通気口だわな。」


「俺達の効能はすごいんだぞ。次のサイトを読めばわかりやすく懇切丁寧に書かれてあるよ。」
蓮根(レンコン)の栄養成分や期待される効果効能・食べ合わせ紹介⋆SlowBeauty
「風をひいたらレンコンをすってその汁を飲めば効果抜群だって、ばあちゃんが言ってたよ。」
「そういえば、咳にレンコン飴って聴いたことがあるよ。」


「それはそうと、僕達ちょっと穴が多すぎじゃない?ネットで調べたら9~10個て書いてあったよ。」


「まあ、多いほうが景気が良いかなと思って増やしてみたんだ。世界中を見通せるようになるかもしれん。そのうち、遺伝子改良で穴がいっぱいのレンコン族も出てくるわな。」
「僕達人気があるんだね。」


「でも、レンコンて、近頃値段が高いっておばさんたちが文句言っていたよ。」


「レンコンが高いのは当たり前よ。俺たちゃビニールハウスで大量生産できねえんだよ。泥沼のような大きな池やお堀が必要なんだ。今の日本にはなかなかそんなところを作ることは無理なんだ。池なんか、埋め立ててマンションなんかになっちまう。中国産のものは皆茹でて真っ白けに漂白されて真空パックされているから、まずいんだ。掘りたての日本さんのレンコンはうまいけれど、高くなってしまうんだ。わかった?おめえらは、頭の中も穴だらけなんか。」


「その上に、泥水に入って汚い作業でかなりの重労働。それでも高値でコンスタントに需要と供給があればいいが、正月前だけで、日持ちも悪い。直ぐ腐ってしまう。そりゃ、高くもなろうというもんよ。今じゃ、レンコンは高級食材なのさ。特に節の部分はLPSってもんが多いっていう話。味が良くって薬効もあるとなりゃもう言うことなしさ。レンコンに生まれてきてよかったとしみじみ思うのさ。」
「分かったよ。レンコンは5Kなんだな。空気は読めるが、汚い作業で、気苦労が多いけれど、効能も多い。故に、高価なんだ。」