2つ目ゴミ箱さん「目から鱗が落ちる。」
ウルシャ「あら、ボッコ、こんちわ。お元気?」
ボッコ「いやー、色々大変だったんだ。」
ウルシャ「まあ、事件なの?ぜひ聞かせて。」
ボッコ「もう、世界の終わりかと思ったよ。」
ボッコ「ひどい目だったんだ。」
ウルシャ「どんな目よ。」
ボッコ「思い出すのさえ目が潤む。涙なしには語れないんだ。」
ウルシャ「聞く前から、心にジーンと来るわ。」
ボッコ「あまりの事に気を失いそうになったんだ。目がぐるぐる回ってね。」
ウルシャ「私、聞くまえから気が遠くなってきたわ。」
ウルシャ「ああ、耐えられそうにないわ。でも、聞かなくては気になって夜も眠れない。早く、聞かせて。」
ボッコ「ホラー映画なんてお呼びじゃない。きっと、全世界が凍りつくだろう。」
ボッコ「実は、先日のこと、夜も更けた頃、一人の男が僕の自動販売機にやってきてカップラーメンを食べようとしたんだ。だが、・・・熱くて・・・我慢できなくて・・・僕の目の中にほりこんだんだ。僕は目に熱湯を被せられたようなもの。そのアチチのカップラーメンはそのまま僕の体内に落ちていってひっくり返ったんだ。地獄の窯の中へ放り込まれてもこんなには酷くないと確信を持って言える。僕は夜中じゅう目から灼熱の蒸気を上げていたんだ。夜の静寂には、とてもこの世のものとは思えない僕の咆哮が響き渡っていた。・・・・あれ、ウルシャ、どうしたんだ。」
ウルシャ「ん~ん・・・目から鱗が落ちた気分。話半分ということの意味が実感としてわかったわ。
貴重な経験というべきかも。」
ウルシャ「度付きサングラスの鱗が目に張り付いていた時は、この世は驚きに満ちていたわ。目から鱗が落ちるって、この世がつまんなくなるみたい。一瞬で色んなことを悟るのよ。ただ、もう、元には戻れない私が居るってことは確かよ。」
ボッコ「そんなに感謝されなくても・・・・。」