「ブラック地主」とは、借地人の権利を無視し自身の利益のために借地人に様々な法的根拠もない要求を押し付けてくる地主のこと。


昔からの地主が地価の高騰に見合った地代の値上げができない時、底地(借地)を売ってしまうことがある。底地を安値で買った新しい地主は、その土地の上に住む住人を追い出して更地にし転売して利益を上げる目的であるから、借地人に対し「借地の高額な買取」「高額な更新料の請求」「以前の地主との借地契約の破棄」「新しい地主との契約に伴う地代の値上げ」など、法的根拠のない諸要求を執拗に繰り返し、最終的には安値で「借地の明け渡し」を承諾させようとする。いわゆる悪質な地上げである。


ブラック地主と言われるのは、普通このような新しい地主が借地人に対して土地の明渡しを強要するケースであるが、元の古くからの地主が地価の高騰に伴って収益を上げようとして自ら第三者に仮装譲渡(いわゆる地震売買)を行い、借地人に高額な権利金や無理な地代の値上げを要求したり、立ち退きを迫ったりする場合もある。

また古くからの地主が亡くなり代替わりした遺族の地主が、従来の契約を無効にして新しい法外な契約を迫り、借地人がそれを拒否すると立ち退きを迫るケースも有る。

これらは、借地権が法律で保護されていない大正時代以前の「借地人は第三者(新しい地主)に対抗できない」という民法の原則を利用したからこそ可能になるものである。

しかし、、1992年(平成4年)に新たに「借地借家法」が制定され、契約の種類、期間、更新、返還方法など、様々なことが定められ借地人の権利が保護される一方、地主の権利も認められるようになった。


この新しい「借地借家法」を盾に取り、平成4年以前の古い建物の場合に、従来の旧借家法は廃止されたからと言って、高額の更新料を要求して挙句の果てに借地の明け渡しを迫る悪質な地主もいる。しかし、「法令不遡及の原則」があり、これは新しい法律が制定されたとしても、制定前の事実にさかのぼって適用されるという原則である。要するに、旧借地法時代の建物に関しては旧借地法が適用されるということである。

この旧借地法時代の古い建物には、地上権が物権として建物についている場合があり、建物がある限り借地権も消滅しない。この事実をよく理解していない借地人に対し地主は単なる土地の賃貸借契約だと思わせ、期間満了で立ち退きを要求して建物を解体して出ていくことを要求したりする。しかし、地上権がある場合、借地人は地主に建物の買取請求ができるので、解体は自分でやる必要はない。老朽化した地上権付きの古い建物を相続した遺族が地上権が付いている事も知らないままその処理に困っているのに付け込んで、地主が「解体はこちらでやるから、譲渡ということで登記をしてもらいたい。」と持ちかけて体の良い明け渡しを実行させることもある。地主にとっては底地が更地になり丸儲けである。この場合なんかは借地人が地主に騙されていることすら分からないから問題にもならない。この地主のケースはグレー地主と呼べばいいのかな。

ブラック地主に悩まされている場合は、まず、NETで検索して、役所の無料相談で弁護士に相談すること。