島国に暮らす日本人には陸続きの国境を持つ国の事情はもうひとつピンとこない。今回のウクライナ侵攻のニュースを追いかけていろいろ検索するうちに、ウクライナ国境をグーグルアースで見て回った。
国境というと、すぐに思い浮かべるのが今はなきベルリンの壁であり、韓国と北朝鮮の38度線である。陸続きで何もない国境というものがあるのかと思い、ウクライナ国境に沿って拡大して見て回っているうちに、国境線はどういう風に決められたのか不思議になってきた。特にウクライナとモルドバの国境はジグザグで複雑に入り込んでいる。


ウクライナは周りを7カ国と国境を接している。特にモルドバとの国境に興味をひかれいろいろ検索していて見つけたのが「沿ドニエストル共和国」である。


新ロシアのドネツク共和国と同じ斜線が引かれている「沿ドニエストル共和国」は、トランスニストリアとも呼ばれている。

ウキペディアによると、

■「モルドバ東部を流れるドニエストル川とウクライナ国境との間の細長い土地にあり、国際的にはモルドバの一部と広く認められている分離国家である。首都はティラスポリ。」
■「トランスニストリアは、アブハジア、アルツァフ、南オセチアと同じく国際的にほぼ承認されていない3つの国家にしか承認されていない。」
■「同地域はモルドバ共和国によって特別な法的地位を有するトランスニストリア自治領域単位と定められている。」

■「ソビエト連邦の解体後、モルドバおよび分離したトランスニストリア領域との間の緊張は1992年3月に始まったトランスニストリア戦争へと発展し、同年7月の停戦によって締めくくられた。その合意の一部として、三者(ロシア連邦、モルドバ、トランスニストリア)合同調整委員会(英語版)がこの非武装地帯(ドニエストル川両岸の20の自治体から構成される)における安全保障体制を監督している。停戦は保たれているものの、この領域の政治的立場は未解決のままである。トランスニストリアは未承認であるが、現在モルドバ共和国政府の実効統治は及んでおらず、独自の政府、議会、軍隊(英語版)、警察(英語版)、郵便制度、通貨、車両登録を有する(事実上の)独立半大統領制共和国である。」

■「ほとんどのトランスニストリア人はモルドバ市民権も持つが[12]、トランスニストリア人の約半数はロシア連邦の国籍を持ち[13]、ウクライナ市民権を有する住民もいる。2015年の主要な民族集団はロシア人(34%)、モルドバ人(33%)、ウクライナ人(26.7%)、およびブルガリア人(2.8%)であった」。

ウクライナ侵攻により、ウクライナに面しロシア軍が駐留する沿ドニエストル共和国の軍事的な存在感が注目されるようになった。

現在、トランスニストリアはソビエト消滅後の「凍結された紛争(英語版)」地帯であることを考えれば、ドネツク共和国国と同じようにロシアがウクライナに侵攻するもう一つの口実となる可能性がある。

モルドバがウクライナ侵攻を見て次は和賀国に侵攻してくるかもしれないと考え、ウクライナがEUに加盟したのを見てすぐにモルドバもEUへ加盟申請したのもうなずける。