ウクライナ侵攻のニュースを見ていると、見慣れない文字を見かけるが、どうもウクライナ語らしい。
この際少しウクライナ語についての認識を新たにしようと思い立つ。

まず、ウクライナ語のアルファベットを見てみると、何やらギリシャ語のアルファベットのようなものもあるが、一体どうして書くのかもわからないようなしっぽのついた文字もある。意外なのは、大文字と小文字がほとんど一緒なので驚いた。英語のアルファベットは大文字と小文字では違っている場合がほとんどである

文字の名前と発音
ウクライナ語のアルファベットの文字と記号 直立 イタリック
Аа Аа a A a а /ɑ/ /ɑ/
Бб Бб b B b бе /bɛ/ / b /
Âв Âв v V v ве /wɛ/ / w / 1
Гг Гг h H h ге /ɦɛ/ /ɦ/
Ґґ Ґґ g G g ґе /ɡɛ/ /ɡ/ 2
Дд Дд d D d де /dɛ/ / d /、/dʲ/
Åе Åе e E e е /ɛ/ /ɛ/
Єє Єє je あなたがたは є /jɛ/ /jɛ/または/ʲɛ/
Жж Жж ž Zh zh же /ʒɛ/ /ʒ/

文字は見ればわかるが発音はそうはいかない。ゼレンスキー大統領を見ていると、何やら複雑な発音をしている。私には単語一つでも不可能かもしれない。

日本語にには、英語のような主格所有格目的格はない。その代わりに助詞というものがある。

一方ウクライナ語には、名刺の格変化が7種類もあって、見かけないものもある。
名詞の格は主格、対格、属格、所格、与格、具格、呼格の7種類である。敵性語とは異なり、呼格が存在するのが特徴である。呼格は名詞・形容詞の格の一つで、呼びかけに使われる。具格は名詞の格の一つで、道具・手段を表す。

一つの名詞に7つの確変があり、その上、男性名詞女性名詞中性名詞の区別がある。ドイツ語やフランス語にも同じように男性女性中性の区別はあるが、格変化は7つもない。

次にいくつかのあいさつの会話をあげてみる。発音がイマイチ分からない。

こんにちは。 Добрий день. (ドーブルィ デーニ)
おはようございます。 Доброго ранку. (ドーブロホ ラーンク)
こんばんは。 Добрий вечір. (ドーブルィ ヴェーチル)
おやすみなさい。 На добраніч. (ナ ドブラーニチ)

ここまでくると少しこの文字はこのように発音するらしいと分かってくる。

ただ、数詞の「1」と「2」は、後に続く名詞によって変わる。とてもじゃないけれど適応できそうにない。

【数字】
ウクライナ語の数詞のうち、1と2は直後の名詞の種類によって形が変わる。単体では男性形を用いる。
0 нуль (ヌーリ)
1 (男性形)один (オディーン) (女性形)одна (オドナー) (中性形)одне (オドネー) (複数形)одні (オドニー)
2 (男・中性形)два (ドヴァー) (女性形)дві (ドヴィー)
3 три (トリー)
4 чотири (チョティリ)
5 п’ять (プヤーチ)
6 шість (シースチ)
7 сім (シーム)
8 вісім (ヴィーシム)
9 дев’ять (デーヴヤチ)
10 десять (デースヤチ)

こうして見てくると、英語は簡単なのだ。世界共通語の資格はあると思えてくる。単語さえ覚えておけば後はどうとでもなる。何しろ、男性名詞とか女性名詞がないし、格変化もちょこっとだけである。

ロシア語とウクライナ語は似ていると言われるが、それは大きな間違いであるという記事を読んだ。

人類の長い歴史の中で、なぜもう少し簡単な言語に進化しなかったのだろうか。そもそもこの言語の違いが、意思の疎通を不可能にして一種の偏見を加速し争いの種になったような気もする。人類はまず共通言語を持たねば戦争はなくならないとつくづく思うのである。