ウキペディアによると、「赤い森は、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所から10 km圏内にある森のこと。1986年4月26日のチェルノブイリ原子力発電所事故により放出された高レベルの放射性物質を取り込んだことにより枯死したマツが赤茶色に見えたので「赤い森」と呼ばれる。事故後の汚染除去作業で、赤い森の木々は伐採され埋め立てられた。この場所は現在でも世界で最も汚染された地域の1つである。」


「赤い森は立ち入り制限区域内に位置しており、原子力発電所の事故で放射性物質を含む煙やちりが雲となり、大量の放射性物質がこの地域に降り注ぎ、マツの木々は枯死した。事故を起こした4号炉の爆発と火災による土壌、水、大気の汚染は広島・長崎に投下された原子爆弾による放出量の20倍であった。」


「2022年2月に始まったロシアとウクライナの戦争で、チェルノブイリ原子力発電所をロシア軍が占拠する際、赤い森内に塹壕を掘る作戦が決行された結果、ロシア兵内に多数の被曝者を出したという報道がある。放射線被曝の急性症状を呈しているものもおり、バス7台分に及ぶロシア兵達がベラルーシのゴメリにある放射線専門医療センターに搬送されたとのことである。

事故後の汚染除去作業で、赤い森にあるマツの木々の大部分が伐採されて埋められ、その上を砂で厚く覆いマツの若木が植林された。伐採された木々は放射性物質による汚染がひどく、他の場所に移動させることは危険が伴うためその場に埋めざるを得なかったからである。

ロシア軍が、現場で重機を使用したことも懸念されている。ロシアの兵士たちは、立入禁止区域内の最も汚染されたエリアを装甲車で走り、放射性物質の粉じんを巻き上げたとロイターは報じている。」


このような地域に戦闘用の通路を掘り、立てこもるという危険なことを命令した上官も、それを実行した兵士たちもただ無知だっただけだと片づけることはできない。

チョルノービリでの原発事故は、当時のソ連以外の国では毎日のように報道された。私も今でも覚えているのは、放射能がどのように広がっていくのか当日の風の方向を知るために気圧配置図を集め回ったのを覚えている。4月下旬だったために風の向きは南から北へ吹いていたために、放射能は、ウクライナより北のベラルーシの方に流れたのである。

しかし、爆発当日のソ連は何も報道せず、ひたすら事実を隠そうとした。この原発事故については当事国のソ連より諸外国の方が詳しかったのではないかと思う。まして政治体制が変わってロシアになってからはそれどころではなかったであろう。ロシアの軍が無知だったわけではなく、国が事実の隠ぺいを図ろうとしたのであるから、極東などの遠方からやってきた一般兵士が詳しいことを知らなかったのは無理ないと思われる。

この原発事故についての詳しいことは、テレビドラマを見て初めてその全貌を知った。このドラマは福島の原発事故を経験した日本人なら一度は見ておくべきドラマだと思う。

『チェルノブイリ』(テレビドラマ)は、2019年5月6日から6月3日まで、アメリカ合衆国・HBOおよびイギリス Sky UKにより製作・放送されたテレビドラマ(ミニシリーズ)。全5回(計330分)。

冷戦下の1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故の際、事態を隠ぺいしようとするソビエト政府の対応や、事故がもたらした人々への影響、被害の拡大を少しでも抑えようと奔走した人々の苦闘を描いている。

第71回エミー賞リミテッドシリーズ部門作品賞、監督賞、脚本賞受賞。 主演男優賞(ジャレッド・ハリス)、助演女優賞(エミリー・ワトソン)、助演男優賞(ステラン・スカルスガルド)ノミネートなど高い評価を受けた。第77回ゴールデングローブ賞テレビドラマ部門では作品賞と助演男優賞(ステラン・スカルスガルド)受賞。

ソ連の官僚体制にがんじがらめになった当時の状況がひしひしと伝わってくる。このチョルノービリの原発事故が引き金となってソ連崩壊が始まったと言われている。

報道の制限をしくソ連の独裁政権は、真実の光に照らされた時、その欺瞞体質の恐ろしさを白日の下にさらけ出してしまった。もしかすれば、プーチン体制も、ソ連と同じような道を歩むかもしれない。