ロシアで経済制裁が始まると砂糖がなくなるわけ。
パンと並ぶ主食とも言えるロシア人の毎日の糧、グレーチカ(蕎麦の実)や砂糖はほとんど買えない状態が続いている。
日本では、トイレットペーパーが店頭から消えることはあっても、砂糖が消えたということは聞いたことがない。
「ウクライナ侵攻すれば砂糖が消える」というフレーズは、「風が吹けば桶屋が儲かる」と似たようなものなのか。好奇心の強い私は、NETの穴掘りを始めた。以下、NETの穴倉から得た結論である。(グレーチカの方は後日に回す)
ロシアには、小農(peasant)というものがおらず、かわりに大規模な数世帯の農業経営者(farmer)がほとんどの農地を経営していることが分かった。村落の住民はといえば、集落からほど近いところに家庭菜園を分与されている。「家庭 菜園」というと、箱庭のような小さいものが思い浮かぶが、実はこの農地から上がる収穫だけでも充分に食っていける程度の広さがあるという。
都会に住んでいる住民も郊外にある菜園付きセカンドハウスを持っていて、この習慣は旧ソ連時代から続いている生活の知恵で、「ダーチャ」と呼ばれている。ロシアの都市市民は、金持ちに限らず、農村部に別荘を持つ習慣がある。その菜園で、夏の間、野菜や果物を栽培し、冬に備えて保存食を作る。先の砂糖の買い占めが起きた理由も、ジャム作りやコンポート作りに欠かせないからだ。このダーチャ文化が、過去幾度となく襲ったロシアの危機を救ってきたのである。
物価上昇を引き起こしているのは「年金生活者のおばあさん方」でペレストロイカ時代から染みついた習性なのだ。ウクライナ侵攻が起こると聞くや、我先にと売り場になだれ込み、瞬く間に買い占めてしまう。その品目の一つがジャム作りやコンポート作りに欠かせない砂糖である。その結果、スーパーの棚から砂糖が消えるという現象が起きるのである。
因みに、砂糖は、グルコースとフルクトースに分解されて、アミノ酸、脂肪、コレステロール、遺伝子などの構成成分を作ることができる。砂糖だけで3年も生き延びた女性もいる。砂糖はまさに命の源である。
ロシアでは、DIY文化が生活の中に浸透していて、国民は大概のことは自力で何とか工夫してやってしまう。国家的に困難な事態に直面した場合、衣食住に関して何とかしてしまうのである。その上、国民同志の相互扶助の習慣もある。ロシアには乞食が多いのはそれを支える国民感情があるからだと言われている。
要するに、ロシアには自給自足の生活習慣が浸透している国なのである。ウクライナ侵攻に対する西側諸国による経済制裁の効果が一体どれぐらいの効果があるのか疑わしくなってくる。
今、ウクライナに必要なのは、国と国民を守る武器であることは誰が考えても一目瞭然である。