一口にロシア兵と言ってもさまざまであるが、20歳前後の地方出身の若いロシア兵に限れば、一般に考えられている軍人とはかなり兵隊としての素養に欠けているというのがTVのニュースやNETの記事で見受けられる。

一例として、虐殺のあったキーウで生き延びたウクライナ人男性の証言によると、、
「特に残虐だった隊のロシア兵は『どうして各家庭にパソコンや電子レンジがあるんだ、どうしてこんなに良い生活をしているんだ』と怒っていた。貧困に喘ぐウクライナに行けば解放者として歓迎されると信じ込まされていたのだろう」ということである。
また、ロシア兵は「ウクライナ人は上級国民」と発狂し、怒っていたという話もある。

つぎのNET記事を見れば、現在のロシア兵のおかれた実情がよく分かる。
ロストフの病院にいるロシア兵傷病者リスト「名前がムハンマドばかり」どうして??? – Togetter

・ロシアの出生率の高い地域のほとんどは、民族共和国か民族自治管区で、コーカサス人やシベリア系住民が多く、徴兵可能な男子を大量に供給している。しかも、彼らのほとんど貧しいので、簡単に軍隊に誘い込むことができる。

・カザフスタン人が住むアストラカンについて言えば、ウクライナの軍事的犠牲者のほとんどをカザフスタン人が占めているという。これは、ロシア軍は貧困層と少数民族の軍隊なのだということを表している例である。

・貧しい地方出身の若者らは説得され、プライドをくすぐられ、勧誘され、誘惑されて契約書にサインさせられる。
偶然に徴兵されたお金や教養のある人は、何としてもそれを避けたいために、弁護士や人権擁護団体に電話して徴兵を免れる。

・契約は通常任意であるが(常にではない)、軍は地方の田舎者に重点を置いている。
第一に、彼らに圧力をかけやすく、自分の権利を知らないからである。
第二に、給料で彼らを買収するのが簡単である。
第三に、彼らは使い捨てにできる。亡くなっても田舎者の母親は枕元で泣くだけである。

知識階級の子供たちの家族は弁護士やメディア、人権団体に電話し、抗議する。


・だから、ロシア軍はどんどん少数民族の軍隊になっていくんです。
昔から田舎者の軍隊だったが、昔はほとんどがロシア民族だった。
ところが今は、ロシア民族の田舎に若者があまり残っていない。

このような事情で、ロシア兵の多くは、ロシアに対する愛国心が欠如しているため彼らのモチベーションはとてもとても低い。
「ロシア兵がどんな地域出身なのか」に迫るスレッドをみると、ロシアの地方というものがいかに我々が思い込んでいるロシアの実態からかけ離れて貧しいかということが分かる。その貧しい地方からロシアの兵士たちはやってきているのである。

・ロシアのZ軍侵略は、ロシアの少数民族が、ロシアの民族主義的なプロジェクトのために戦い死ぬことである。

次のスレッドを見るとロシアに中というものの実態がよく分かる。ロシア軍の若い兵士たちはそのような貧しい地方出身者である。

■「ロシア兵がどんな地域出身なのか」の執筆者を紹介:Sergej Sumlenny氏
ドイツ・ハインリッヒ・ボエル財団のキーフ事務所長。民間企業で中・東欧市場に関するビジネスコンサルタントも経験。専門はエネルギー移行、ジェンダー権、都市計画など。

・ロシア兵とその親族との通話記録。(ロシア兵が携帯電話を盗んで使用→ウクライナ保安庁が傍受)
彼らは同じ話をする。ウクライナがいかに豊かか。どれだけ略奪したか。そして、ここで暮らす人々がいかにクールか。アスファルトや街灯を初めて見る人もいた。

・欧米の専門家や政治家の多くは「豊かなロシアと貧しいウクライナ」というストーリーを好む。実は、特別に豊かなモスクワとペテルブルグを除いて、ロシアは未開発の国だ。ウクライナの平均的な州は、ロシアの平均的な州よりずっと良い暮らしをしている。

・ウクライナの政治的自由の話ではない。市長選挙、報道の自由、地方自治 – 兵士はそんなものは見ない。ウクライナ人は、より良い道路、より良い照明、より多くのお金、より良い食べ物、近隣諸国とのより良いコネクションを持っている。それがロシア兵を驚かせるのだ。

・彼らは聞かされていた。「ウクライナは破綻国家だ。人は奴隷のように働き、何もない」と。今彼らは、すべてのガソリンスタンドにコンピュータがある現実を目の前にしている – 30種類の紅茶、コーヒー、ホットチョコレートを揃えたコーヒーマシン。ウィスキーバーもある。

・2021年のロシアの最低賃金は190ドル、ウクライナの最低賃金は245ドルだった。平均賃金は、ロシアが688ドル、ウクライナは640ドルだった。ただし、後者は統計が歪んでいる点に注意。モスクワ、ペテルブルグ、石油地域の給与が非常に高いのだ。

・だから、純粋な賃金の統計でも、ウクライナ人の方がお金を持っている。加えて、ウクライナの物価の方が低い。また、多くのウクライナ人が海外で働き、母国に送金していた。実質、地方の平均的なウクライナ人家庭は、ロシア人の2倍の収入があったのだ。

参考3:
キエフとモスクワでの同じ職種の給与比較
電気技師:キエフ875ドル、モスクワ640ドル
石膏ボード工事作業員:🇺🇦2200ドル、🇷🇺1300ドル
スーパーのレジ係:🇺🇦760ドル、🇷🇺600ドル
(2021年10月ウクライナ経済教育プロジェクト調べ)

・アスファルトのことが気になる人へ。皆さん、これはディアマンテとガスが豊富なヤクーツク地方の主要道路だ。雨上がりの度に車が立ち往生する写真が出てくる。モスクワがシックでクールなのはわかる。他は見たことがないのだろう。ロシアはモスクワではないのだ。

・そして「ああ、シベリアは遠いけど、首都周辺はこんなもんじゃない」とおっしゃる方。これは、ペテルブルグ地方の「連邦高速道路」からの写真だ。完璧な “アスファルト “にご注目。



参考6:
・ロシアの病院での写真を紹介しよう。この3枚はサンクトペテルブルグ、モスクワ郊外のエレクトロスタール、そしてキスロヴォーツクだ。(ロシア南部の豊かなリゾート地の中心地)
出典(ロシアのホームページ)

 

・「でもロシアのGDPは高い!」「平均収入はウクライナより大きい!」とおっしゃる方。ここはノリルスク。世界最大のニッケル生産の本拠地だ。17.7万人が住んでいる。ノルニッケルのオーナー、プロホロフ氏は110億ドルの富を持つ。これも含め一人当り6.2万ドルだ

参考9:
・すまないが私の古いジョークを。文字通りロシアのいくつかの都市は、ロシアが「解放」したかのように見える。
実際、ロシアはムルマンスクからウラジオストクまで、どのロシアの都市でも写真を公開して「ウクライナ人がやった」と主張すればいい。

参考11:
・もう一度。 あなたは貧しい地域の最も貧しい村から来た18歳だ。この貧困(とテレビに映るプーチン)以外を見たことがない。旅行の経験もない。軍隊があなたを連れてウクライナに行く。そして、あなたはアスファルトと豊かなウクライナ人を見て – 彼らを憎む。

 

参考12:
・ロシア国家統計局「Rosstat」の公式データ。2019年、ロシア人の22.6%が水道のない家に住んでいた。農村部では66.5%だった。考えてほしい。農村部の徴集兵の2/3は生涯、穴の中に糞をしなければならなかったのだ。

参考13:
・全ロシア人 – 農村部と都市部に住む両方の人 – シックなモスクワやサンクトペテルブルクもあわせて。3人以上の子供がいる家庭の40.9%が家に水道がなかった。2019年のロシアで。これはロシア政府の公式統計だ。

 

以上のスレッドを読めば、ウクライナ軍とロシア軍の違いがよく分かるというものである。しかし、どちらもかわいそうである。憎むべきは、独裁者プーチンと寄らば大樹の陰と決め込んでいる取り巻きたちである。

兵隊がいなければ戦争は起きない。しかし、ロシアは地方の貧しさと無教養に付け込んで使い捨ての若者を集めて兵隊にし、隣国ウクライナへ侵略戦争を一方的に仕掛けたのである。

ほとんどの兵士たちは「死にたくない」「家に帰りたい」と思っていることだろう。