アゾフスターリ製鉄所の地下シェルターは「もう一つのマリウポリ」ともいうべき広大な地下都市らしい。
ロシアが何度もウクライナにマリウポリのアゾフスターリ製鉄所にたてこもるアゾフ連隊に投降を求めた。今までこんなに何度も時限を切って投降を勧告したこともないロシアの不自然な行動である。ロシアの行為は相手のにとって利益になることは絶対しないと考えると、これはロシアにとって利益となることである。要するに、アゾフスターリ製鉄所の地下シェルターを攻め落とすことは、多大な負担となるらしい。
この地下シェルターが一体どんなものなのか、探してもなかなか出てこなかったが、 Sputnikのブログでやっと見つけたので、以下に記録しておく。
『ドネツク人民共和国高官 (dlvr.it/SNgHMM)は、地下都市が広がるアゾフスターリ製鉄所の制圧は困難と述べている。
ドネツク人民共和国政府のヤン・ガーギン首長補佐官がリアノーボスチ通信の取材に応じた中で明らかにした。
ガーギン補佐官によると、ソ連時代に建設されたアゾフスターリ製鉄所は広大な面積(11平方キロメートル)を誇り、施設内には多くの工場が立ち並んでいて、その面積はマリウポリ市そのものに匹敵するという。従って、これは「もう一つのマリウポリ」と呼んでもよい規模であるということだ。』
モスクワにもこのような旧ソ連時代の大きな地下シェルターがあるらしい。よって、ロシア側は、このソ連時代の核シェルターというものがそうやすやすと陥落させることはできないということをよく理解しているものと思われる。
(上の図はゲームの地下シェルターのイラストである)
『武装組織「アゾフ大隊」が籠城するアゾフスターリ製鉄所の地下には広大な空間が広がっており、一部の施設は核攻撃をも想定していることから、制圧は困難となっている。
この製鉄所はソ連時代に空爆や核攻撃も想定して建設され、この施設そのものを制圧することは非常に困難であるという。地下にも連絡網が存在しており、マリウポリ市内にあるその他の施設と繋がっている模様。
Азовсталь pic.twitter.com/qrq50HVe5e
— Netscape Fumigator (@l0ldbl00d) April 14, 2022』
(上の図は単なるイメージ図である)
『アゾフスタリ製鉄所には広大な地下都市が存在しており、ドネツク人民共和国側の試算によると、地下に籠城する戦闘員の数は数千人規模に達する模様。さらにアゾフスターリ製鉄所には大量の武器や弾薬に加え、工場内には装甲車も数多く保有しているという。制圧に多くの時間がかかっている状況を政府高官はこのように説明した。
また、突入作戦には多くの人的損失が伴うことから、現在は地上からの砲撃が中心に行われており、これにより「アゾフ連隊」の弱体化をドネツク人民共和国側は目指しているという。』
ロシア軍は地下施設に直接攻撃が可能な地下貫通弾による攻撃を行っている。この地下貫通弾は、古くから使われているもので、米軍の場合だと、重量があって外装が硬く細長い形状で航空機から落として重さと勢いで地中にめり込ませるものである。普通は地中30メートル、コンクリートなら6メートル貫通すると言われている。
アゾフスターリ製鉄所は欧州最大級の製鉄所の一つでソ連時代に建設された。地上の巨大な構造物に加え、地下にはいくつものシェルターやトンネルがつながっているとしたら、きっと秘密の出口なるものもいくつかあったはずである。公共の大型地下シェルターには入り口と出口が複数あるのが一般的である。その出口をうまく使うことができれば、ウクライナ側の作戦も違ってくると思うが、そんな秘密作戦を公表するはずはないので一般ピープルには知る由もない。
マリウポリの地下シェルターからウクライナの軍隊が投降してこない場合は、ロシア側は兵糧攻めにするつもりでいる。ロシアは一刻も早く、マリウポリを陥落させて東部への攻撃に集中したいらしい。プーチン大統領はマリウポリをめぐり事実上制圧したと表明し、市民が避難している製鉄所から「ハエ一匹もだすな」というようなことを指示したという。ニュースになることはプロパガンダが多いので、あまり当てにならない。
NATOからの支援攻撃武器がウクライナに早く届くことを祈るのみである。