ロシア系住民が分離独立を宣言した「沿ドニエストル・モルドバ共和国」で爆発相次ぐ。
ウクライナ侵攻が始まって、ウクライナの国境沿いにグーグルアースで見て回っていて見つけたのが、ウクライナ西南部に沿った「沿ドニエストル共和国」である。その成り立ちがウクライナの東部のドネツク人民共和国とよく似ている。そのうちロシアは黒海沿岸を支配するためにこの小さなモルドバ共和国へ侵攻するのではないかと思った。
かつて、ソ連が崩壊後モルドバが独立した際、モルドバではルーマニア民族主義が台頭。しかし、ルーマニア系住民に国を統治されること嫌ったロシア系住民たちが、『沿ドニエストル共和国』として独立を宣言し、1992年にはモルドバと沿ドニエストルは戦争に突入した。戦争は約2ヶ月半で休戦協定が交わされたが、その後も沿ドニエストルはモルドバ内で事実上独立状態で現在に至っている。
ウクライナ西部と国境を接する、モルドバ東部のトランスニストリア(Transnistria)地域では、多数派のロシア系住民が1990年に共和国の分離独立を宣言をしたが、国際的には承認されていない。ワイン王国として知られる東欧の小国モルドバで30年前、多数派のラテン系住民と少数派のロシア系入植者らとの間で紛争があったのを口実にロシア軍は、今も駐留を続けている。
実際、モルドバ共和国がウクライナ難民を積極的に受け入れているのもそうした背景だからである。
安全保障会議を招集、相次ぐ爆発受け モルドバ大統領 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
【4月25日】マリウポリを制圧し、オデッサに侵攻しようとするロシアは、遂にこの小国にまで手を伸ばし始めた。モルドバ共和国では25日に「内務省」の庁舎が攻撃された。建物の窓が吹き飛ばされ、煙が上がったのである。
【4月26日】「内務省」によると、26日には、ティラスポリ(Tiraspol)の北約50キロにあるラジオ関連施設で2回の爆発があった。この施設では、ロシアのラジオを中継して放送していたアンテナ2基が地面に倒れたという。
【4月26日 AFP】旧ソビエト連邦の小国モルドバのマイア・サンドゥ(Maia Sandu)大統領は26日、ロシア系住民が分離独立を宣言した東部の「沿ドニエストル・モルドバ共和国」で爆発が相次いだのを受け、安全保障会議を招集した。
ロシアのウクライナ侵攻後、モルドバではロシアの次の標的になるのではないかとの不安が広がっていたが、事実となった。
ウクライナへのロシアの一方的な侵略を許せば、ロシアは次々と周りの国に侵攻しはめるだろう。中国もそれに習う可能性がある。
ロシアに国境を接する我が国も安心していられない。ウクライナ侵攻は、東欧の一国の話ではない。これが引き金となって世界大戦が引き起こされる可能性もある。国を拡大するために他国に侵攻す行為は、現代では許される行為ではないことを、世界が再認識しなければならない。