ロシアとウクライナの戦闘を見ていると、ハイテク兵器の戦略戦争の様相を呈している。戦況に応じたハイテク兵器をうまく使いこなすことが有利に働くようである。そういう意味で、最も注目されるのが軍用ドローンである。

次のサイト「軍事ドローンの基礎知識」によると、大きく次のように分類される。

軍事ドローンの基礎知識(JSF) – 個人 – Yahoo!ニュース

無人機も市販ドローン(数百g~数kg)からグローバルホーク(12トン)のような大型機まで幅広くある。
⓵遠隔操作型ドローン(LOS通信)
⓶遠隔操作型ドローン(衛星通信)
⓷プログラム飛行型ドローン
⓸徘徊型ドローン
⓹ドローン迎撃ドローン
⓺自律戦闘型ドローン

ドローンを飛行制御方法で分けるとこの6種類となるが、この中でも今回のウクライナで飛び交って恐れられているのが④俳諧型ドローンで、別名「神風ドローン」と呼ばれている。徘徊型弾薬ドローンは小型で速度が遅く、使い捨ての自爆する「神風ドローン」でロシアとウクライナ双方が投入している。

アメリカがウクライナに供与すると報じられた「スイッチブレード300」は重さ6ポンド(約2.7キロ)の軽さで兵士一人がリュックサックに入れて運搬できる上に、簡単に発射することが可能で、時速約60マイル(約96キロ)で巡航し、搭載カメラと全地球測位システム(GPS)が付近の敵を15分間捜索する。攻撃目標が見つかり指令が与えられると、時速100マイルに加速して急降下、衝突と同時に爆発する。この神風ドローンは少人数で素早く動くことを好むウクライナ軍にとって最適な兵器となり、探知は困難で、遠く離れた敵の陣地にも侵入できる。
スイッチブレードに搭載されているビデオカメラと赤外線センサーは、同サイズの偵察用無人機と遜色のない性能を備えると同時に、攻撃も可のであるにもかかわらず、価格はわずか6000ドルとロシアの偵察だけのドローン・オルラン10とほぼ同じような価格である。

4月22日、アメリカが追加支援でウクライナのリクエストに応えて作った「フェニックス・ゴースト」は、滞空時間が6時間=480分と、先行機の12倍も長く飛んでいられる上に垂直離陸が可能なのである。垂直離陸自体は、日本国内の定価数千~数万円の撮影用民生ドローンでも普通に実現されており、特段技術もコストもさほど新しいものではないので、開発コストも大してかかっていないものと考えられる。このドローンの名前のごとく滞空時間が長いのでかなり遠くからゴーストのごとく敵陣へ飛来させることができるのである。兵士の姿が見えないのにどこからともなくやってくる攻撃型ドローンなのである。このフェニックス・ゴーストがウクライナで性能の良さを証明すれば、世界の注目を浴びることになり安い広告料となるに違いない。


21年8月にモスクワで開催されていた軍事展示会で、ロシアの軍事企業のカラシニコフ・コンツェルンは、無人の軍事攻撃ドローン「KUB」を発表した。この攻撃ドローンは3キロまでの爆弾を搭載することが可能で、標的を発見したらドローンが攻撃を行い、標的を爆破することが可能あるが、特に敵の船を攻撃して破壊するのに最適であり、15機の攻撃ドローンが同時に発射して敵に向けて攻撃を行うことができる。鳥のようにドローンが大群で飛行して攻撃を行うことができることを特徴としている。

要するに、ロシアの「オルラン10」「KUB」とアメリカの「スイッチブレード300」「フェニックス・ゴースト」の性能と価格競争をウクライナという戦場で実践しようというのである。

 

攻撃用の軍事ドローンは「Kamikaze Drone(神風ドローン)」、「Kamikaze Strike(神風ストライク)」とも呼ばれており、標的を認識すると標的を爆破し殺傷力も高い。「神風ドローン」の大群が上空から地上に突っ込んできて攻撃をしてくることは兵士にとっての心理的影響は想像を絶するものがある。このような「神風ドローン」の開発を、ローマ教皇庁は公式文書で反対を表明しているほどである。

この神風ドローンは、遠隔地にいるとはいえ敵を殺害する攻撃側の軍人にも精神的な負担があるが、戦場で命を落とすリスクは低減され、”人間の安全保障”は確保される夢の兵器でもある。

一方で、人間の判断を介さない攻撃が非倫理的・非道徳的であるということから国際NGOや世界30か国の政府、AI技術者らが自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。

今後、自立型殺傷兵器が増える傾向にあると思われるが、この兵器をただ非人道的兵器と決めつけるのはたやすいが、人類は己のコントロール能力を超えたハイテク科学兵器を持つことになる事を考えると、戦争自体が非人道的なのである。戦争は国家間の大量殺人行為でしかない。新型コロナウイルスのワクチンを必死で開発する一方で、神風ドローンを開発し殺人にいそしむ現状を、次世代の子供に対して何と説明すればよいのか。プーチンとプーチンに味方する国家元首に答えてもらいたい。