黒海の魚は怒って泣いているぞ。
人間の重量は、地球上に存在する生物全体の約0.01%、植物は82.5%。この0.01%の人間が、地球の自然を破壊し続けているのだ。
黒海は湖ではなく海である。ヨーロッパとアジアの間にある内海で、マルマラ海を経てエーゲ海、地中海に繋がる。
面積は436,400km2(瀬戸内海の約20倍)、最大水深は2,206m(瀬戸内海の最大水深は105メートル)。名称は黒味を帯びた海水に由来する。この黒味の原因は硫化鉄であるとする説では、「黒海は、大陸に囲まれた海であり、地中海と辛うじて結ばれているだけの閉鎖性水域である。黒海の海水は水深200mを境として冷たく塩分の薄い表層水と、暖かく塩分の濃い深層水が層を成して混合しない。このため深層水では酸素が欠乏し嫌気性バクテリアによって硫化水素が発生し、海水中の鉄イオンと結合し黒色の硫化鉄を生成する。」
表層水は充分な酸素を含むため豊かな生態系を擁しており、漁業も行われている。漁獲高は年25万トンから30万トンに上り、その3分の2がアンチョビで、残りはアジやイワシ、ニシンやチョウザメなどである。
ウクライナ戦争が起きる前までは豊かな内海で、魚達は平和な日々を過ごしていた。
1991年のソ連の崩壊により、黒海北岸はほとんどが新たに独立したウクライナに、東岸はやはり新たに独立したジョージアに属することとなり、ロシア領は北東部のみへと大幅に縮小した。とくに北岸のロシアとウクライナの間では、ロシアはクリミア半島を併合してしまった。その後もロシアは不凍港の国会を我がものにしようと、ついに2022年ウクライナに侵攻したのである。
黒海は、周辺諸国にとって貴重な海運ルートで、ブルガリア、ルーマニア、ウクライナ、ジョージアにとっては唯一の海洋であり、またロシアにとっても黒海沿岸は不凍港として、また南部の玄関口として、非常に重要である。
しかし、黒海の魚たちにとっては、このいざこざは迷惑千万以外の何物でもない。地雷はあちこちに漂ってるし、ミサイルは飛び交うし、でっかい船は、沈没してきて海の水を汚すはで、黒海の魚達は怒っている。「いい加減にせんかい!」とポセイドンも怒り狂っているが、一向に伝わっている様子はない。黒海には50mもの長さを誇る超巨大な大海蛇が住んでいるとされているが、そのうちこの怪獣が怒って深海から、襲ってくるかも。
ギリシア神話時代では、黒海沿岸などギリシアより北方の未開地に女性だけの部族アマゾンがいて、黒海もかつてアマゾン海と呼ばれたと言う。
昔も今も人間どもは戦いに明け暮れ、黒海を人の血でケガしてきた。魚達の流した涙は黒海の水に交じって人の目には見えるはずもない。
「戦いや鳥啼き魚の目に泪」