リサイクルショップで買った貯金箱に謎の15枚の5円玉が入っていて、御縁を感じた。
何時ものように、息子がハードオフへ行くというので私も便乗してついて言った。その日は息子が探していたものがなかったようで、すぐに帰ると言い出したが、私の方は隣のオフハウスであれやこれやと楽しく物色している最中であった。急がされてよくも見ないで可愛い陶器の置物があったので籠の中に放り込んで清算した。その最後の置物がこの緑の帽子をかぶった男の子である。
よく見るとただの置物ではなく貯金箱である。中からカチャカチャという音が聞こえる。どうも小銭が少し入っているようである。
貯金箱になっている場合、底から出せるようになっているが、これは小さい貯金箱でとてもそこから出せそうにないので、入り口から紙を差し込んでコインを出した。
何だか物すごく汚れた5円硬貨ばかりが15枚出てきた。75円分である。こんなに汚れた5円玉ばかりを見るのは初めてである。
余りに汚いので、洗剤で洗ったがなかなか汚れは落ちない。一体いつ頃の物なんだろうと硬化を調べ始めた。
昭和24年から28年までものものが8枚。昭和24年1枚、25年2枚、26年2枚、27年1枚、28年2枚である。
後は、昭和34年1枚、37年3枚、39年3枚である。
これをじっと眺めていたら、誰かの生まれた年の5円硬貨なのではないかという気がしてきた。この5円玉を集めていた人は志し半ばであきらめざるを得ない事態になったらしい。
あれこれ迷った結果、私のコインコレクション(母から受け継いだもので記念コインのコレクションである)に加えておくことにしたが、これらの5円玉は何の価値もないものではあるが、どこかのある人にとっては価値のあるものだったコインである。不思議な気持ちである。
ただ私自身は穴の開いていない5円玉を小学生のころ100枚ぐらい集めて持っていたので、5円玉を集める人の気持ちが分からないでもない。おつりで5円玉をもらうと直ぐに確かめる時、ちょっとしたスリルである。思いのものがあるとその日は何かちょっとだけいい日になるのである。1円玉でもなく10円玉でもなく5円玉というのにこだわるのである。5円は「御縁」に通じるからである。
2023年のお正月の初もうでに、この5円玉を神社の賽銭箱に入れてもいいかなとふと思った。