水墨画の一筆龍を描いてみた。如意宝珠も白抜きで描いてみたが、霊験味にかけるような気がする。
抗がん剤治療が終わっても手足のしびれはその後も一向に治らなかった。筆を持つのは諦めなければならないことに、一時は落ち込んでしまったが、リハビリを兼ねて一筆龍を描くことにして以来、目標に向かって毎日あれこれ失敗をしながら少しづつ筆に慣れていった。その中で一筆龍を墨のモノトーンの水墨画で描きたくなって、健康を祈りながら工夫して描いていると楽しくて仕方なくなってきた。
この龍が一番初めの水墨画風の龍である。金泥で描いていた角と宝珠を上から白く塗ったのでやや黄色みが残っている。
一筆龍の醍醐味は、墨で描かれたうろこ状の表現ではないかと思う。
一筆龍を描く紙はつるつるした紙なので、綿棒で墨の上をこすり取ることができた。こうして宝珠は描くのではなく黒い墨の部分をこすり落として白く描くことにした。
しかし、白い如意宝珠は霊験力が余りないような感じもする。
一筆龍の足は省略されていることが多いが、どの辺に描くかという問題に突き当たった。
しかし、竜の必須条件を考えると、角のある頭部と尾と鱗のある胴体である。鯉や大蛇から変身した日本の龍はドラゴンではないので手足は省略してもいいのではないかと思えてきた。
しかし、頭部と尾以外で忘れてはならないのは如意宝珠(にょいほうじゅ)である。なんでも願いが叶う如意宝珠こそ絶対必須である。
白黒のモノトーンにすると、如意宝珠のインパクトがなさすぎる。やっぱり如意宝珠は箔を使わなくてはと考えるのである。
金色に輝く大きな宝珠でなくてはならない。手に持てるぐらいの小さい宝珠であっては悲しい。太陽のようでなければ。