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私の周りの人たちは、皆癌で亡くなっていった。
小児白血病だった従姉の子は、2-3年と言われながら、28歳まで生きた。
生存率50%、と言われた母は、抗癌剤に耐えられず結局半年でなくなった。享年66歳。
父は、そんな母を見ていたので、癌が発覚した時、すべての治療を拒否した。そのうえ私にまで隠した。そして、12年生きた。享年88歳。
余命1周間と言われた我が夫は5年生きた。享年61歳。
父方も母方も大半が、癌でこの世を去った。そのたびに聞かされる生存率。当の本人も家族も、神のご宣託のように医者の言葉に絡め取られた。
その数字がどのようにして導き出されたものか私達は知らない。国立がんセンターのサイトの説明を読んで、本当に数字だけなのだと改めて思い知った。個々人の特性データーが何もない。同じ外れるのならいい方に外れてほしい。皆んなあの世で、「あれれ?」と思っているだろうか。

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4月11日は父の月命日。桜の幻影を見ながら息を引き取った父。最後のアドレナリンの噴出であったのに、私は気づかなかった。まるで映像を見ているかのように、臨場感のある表現であった。

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「関屋へ行く高速の両側の桜が満開や。花びらが雪のように降ってくる。儂はそこをものすごいスピードで坂を下ったり上がったりしている。ああ、きれいや。ものすごく綺麗や。」そんな内容のことをずっと繰り返していた。父の見た桜の光景を何時か作品にしたいと思う。

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私は今までに、そんな感激をもって桜を見ただろうか。なにかぼーっと見ていたような気がする。きっとあと数日で桜は散るだろう。何故か今年の桜は胸に迫ってくる。