この3冊の本、読んでも楽しく見ているだけでも飽きない。好奇心が強く完全癖がありユーモアにも富む妹尾河童というヒトの性格が、これらのイラスト本を書き上げたのだと思う。スマホがなかった時は、どうしても長時間待たなければならない時はこれらの一冊を持って行ったものである。

もう一冊あったのだが、貸してあげて戻ってこない。きっと返すのがもったいなくなったのか、又貸しを繰り返されてついに消滅してしまったに違いない。
題名は、「かっぱのが覗いたトイレまんだら」。


著名な舞台美術家であり、エッセイストでもある河童さんが旅先で見て興味を引いたものをイラスト入りで書きためた本である。近頃のテレビ番組の元ネタではないかと思うこともある。舞台美術家だけあって、パースの描き方のお手本にもなる。最後に書かれた「立花隆さんのネコビル顛末記」を読んで、立花隆さんの本を読んでみようという気になったぐらい面白い。


河童さんの人脈の広さを伺わせるこの一冊。彼だからこそ、仕事場に入れたのではないかというケースもある。
写真機があっても、天井からの鳥瞰図は絶対撮れないからこそこのイラストは絶対価値がある。今、話題になっているトランプさんの大統領執務室のイラストもある。


この「舞台裏おもて」は、河童さんの専門分野であるだけにプロの目で書かれている。演劇を見る側の知識も広がり、面白さも倍増することは確かである。同じ一生を生きても、河童さんの一生は300年ぐらい、いや、それ以上はあるに違いない。

毎日が同じことの繰り返しみたいで退屈だという方は、河童さんのこれらの本を見れば、目の鱗の1・2枚も落ちよう。妙な自己啓発本より余程ためになる事うけあいである。