あの見た目にキモいホヤをさばいて料理して食べるまでの悪戦苦闘
近所の魚屋で見つけた得体の知れない食材。ホヤである。「宮城県産 活きホヤ貝 刺身用」と書かれているので、きっと新鮮なのであろうと思って買って帰った。
ホヤという名前は高校の生物の教科書に載っていたので覚えているが、貝類ではなく脊索動物である。脊索とは、デジタル大辞泉によると、「原作動物と脊椎動物の幼生の背部にみられる支持器官。脊椎動物の多くでは成長するに従って周囲に骨質の脊柱が形成され、圧縮・退化する。」と書かれている。
しかし、何という奇っ怪な生き物であろうか。得体の知れないエイリアンとしか思えない。
右側の2つの突起は、入水管と出水管。ホヤはプランクトンなんかを食べて生きている。左側の黒っぽい樹状突起は、岩などにくっつくために伸ばしている根のようなもの。
裏側はこんな具合。
もう一つのホヤ。写真を撮っている段階で、こんなキモいものを食べるなんてと後悔し始める。
この根っこの部分は切って捨てるそうである。そりゃそうである。
外側の硬い皮の内部に食べる肉質部があるというので少し安心する。
まず、このキモい外側の硬い皮を取り除かなくてはならない。ネットで見たように真ん中に切り目を入れる。しかし、この時、水が多量にぴゅっと飛び出してきて思わず声(悲鳴)を出してしまった。と、同時に何やら磯臭い匂いがぷーんと漂ってくる。
切れ目からハサミを入れて縦に切っていくが、かなり硬い。
イボイボの形に皮が剥けていくが、硬い。
外皮をぐるっと一周切ってしまうと、皮は簡単に剥ぎ取ることが出来た。
R・H・ギーガーのエイリアンの世界を思い出す。
やっと、どうにか皮を剥がすことが出来た。やれやれ。
裏側を向けてみる。これを刺し身で食べる勇気は出ない。長男はゲテモノ食いなので横手で嬉しそうに見ながら、写真を撮っている。
これを輪切りにするそうなので切ってみた。何やら磯のきつい匂いがする。
私はとてもじゃないけれど刺し身では食べる勇気がないので息子に味見してもらう。長男はこんなものだと言い、次男は「おえー、まずっ!」と言う。私も恐る恐る試食・・・硬い生牡蠣のような感じ。美味しいとは思えない。
お酒で洗って、バター焼きにすればこの生臭さはなくなるはずであると考え、洋風料理に変更。
ニンニクとバターを入れて強火で焼く。なかなかいい香り。
イタリアンハーブ各種を振り掛ける。これでもう大丈夫、美味しくなったはずと確信する。
ちょっときゅうりなんかも添えて、もっともらしく盛り付ける。この時点では、アワビのバター焼きを想像する。
で、試食・・・・こんな味のものは今までに食べたことがない。人間というものは初めての物に拒否反応をするものである。まずくはないが、なにか気持ち悪いのである。病みつきになるにはどれぐらいかかるのだろう。
それとも、現地直送なら、美味しかったのかなとも思う。とれとれピチピチホヤ料理なのかもしれない。兎に角、緊張して肩が凝って疲れた。