【新型コロナウイルスの死亡者の多くは、肥満症、糖尿病や高血圧などの基礎疾患を抱える患者であり、レギュラトリーT細胞の減少や機能低下によって、そもそもサイトカインの産生を誘発しやすい状態にある。】ということは、この免疫細胞のレギュラトリーT細胞の減少を防がなければならないということである。


新型コロナ感染重傷者の体内ではキラー細胞も減少しているが、司令官の役割を担うヘルパーT細胞と調節役のレギュラトリーT細胞の減少が著しい。この現象のよって免疫力低下を引き起こしサイトカインストーム(免疫力の暴走)を防ぐ事ができなくなるのである。


免疫細胞と一口に言っても色々ある。血管の中をながれる白血球(免疫細胞群)の種類には樹状細胞(じゅじょうさいぼう)とマクロファージがあり、一方、リンパ管を流れるリンパ球の種類には、T細胞、B細胞、NK細胞がある。

これらの免疫細胞の中のT細胞はウィルスなどに感染した細胞を見つけて排除する働きがある。T細胞には、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、レギュラトリーT細胞の3種類があり、それぞれ司令塔、殺し屋、ストッパー・クローザーの役割がある。

このT細胞の中のレギュラトリーT細胞は、キラーT細胞などが、正常細胞にも過剰な攻撃をしないように、キラーT細胞の働きを抑制したり、免疫反応を終了に導いたり、というストッパー・クローザーの働きを担っている。即ち、「免疫の暴走(サイトカインストーム)」をコントロールしているのである。

新型コロナウイルス感染で死亡するのは大部分このサイトカインストームに起因している。

免疫細胞の約6割は腸にいる。

レギュラトリーT細胞は腸に多く生息する免疫細胞で、腸内環境が著しく悪化している身体では、新型コロナウイルスが感染する前からレギュラトリーT細胞が少なく、サイトカインストームを起こしやすい状態にあると考えられる。

ということは、免疫力を維持し、活性化するためには、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えることが大切である。善玉菌は悪玉菌の増殖・定着を防いで感染を予防したり、有害な物質を体外へ排出する手助けをしている。


腸の活性化のためには、善玉菌を増やす発酵食品と、善玉菌のえさになる食物繊維をとることが重要である。

・発酵食品(味噌、醤油、酢、納豆、ぬか漬け、たくあん、キムチ、チーズ、ヨーグルト、又パン、日本酒、ビール、焼酎、ワイン、かつお節)

・水溶性食物繊維の効果は、①食後の血糖値の上昇を抑える。②血中のコレステロール値も低下させる。③高血圧を予防する。④低カロリーで肥満の予防になる。(大麦、オーツ、熟した果物、こんぶ、わかめ、こんにゃく)

・不溶性食物繊維の効果は、①便の容積を増やし排便を促す。②有害物質を吸着させる。(穀類、野菜、豆類、未熟な果物、野菜、ごぼう、きくいも)

食物繊維は腸内の清掃と大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境を整える効果がある。