寝ていたら、息子が大事件が起きたかのように寝室にやって来た。

「ベランダに鳥の足が落ちている。気持ちわりいー!」という。

何が何だかよく分からない。鶏の足だけが我が家のベランダに歩いてくるはずもなく、人間ではない生き物がベランダに運んできたに違いない。急がされるけれど、着替えをしてトイレに行って朝の起きてからの準備をしていると、息子が早く早くと急がせるけれど、鳥の足だけが歩いて行くわけもなく焦る必要もないのでいつものようにしていた。


確かに鳥の足だけを見ると、少し気持ち悪いかもしれない。このアイキャッチ画像は芸大代に描いた鶏の絵を使っている。この時も足の写生をしていたら、顔からは想像できないすごい恐ろしげな足にたじろいだのを覚えている。

この足が1本、あるはずのない場所に転がっていたら、確かに驚く。


息子はもう一度ベランダに見に行ったかと思うと、大声で喚き散らしながら降りてきた。

「ない、ない、なくなっている。足が消えた。」と息子は言う。

それには、私も驚いた。足が独りでに歩いて行った、若しくは、飛んで行った。羽もないのに。

息子は「早くしないから消えてしまった。」と私のせいにするかのように怒りながら責めるが、それはお門違いと言うものである。

私が思うに、カラスがどこかで見つけた鳥の足をいったん我が家のベランダに置いたが、少しして他のカラスにとられたらと思って再び取りに戻ったのではないか。

その後、朝ご飯を食べながらよく聞いてみるとその足は、鶏の足ではなくハトの足らしい。カラスがハトを襲って食べて残った足だけを咥えて我が家のベランダに隠したが、やはりここでは取られる可能性があるので再び咥えてどこかに行ったという事か。それともほかのカラスが見つけて持ち去ったのかもしれない。ハトの足を一体どうするのか。いよいよ気持ち悪くなってきた。

我が家の庭やベランダにカラスがよく色んな物を置きに来る。
大きな奇麗なカラスの羽やきらきら光った紙切れやお菓子の袋などであるが、ハトの足は初めてである。

いつもカラスの鳴き声の真似をしている私を友達だと思っているのだろうか。今後、どのようなプレゼントを置きに来るか分からない。何しろカラスと人間の価値観は違うから。ということで、タカか、トンビの鳴き声でも真似る必要性が出てきた。しかし、一体どんな鳴き声かよく知らない。又しても課題が一つ増えた。

今のところ、鳴き声を真似ることができるのは、猫、犬、人間の赤ちゃんぐらいなものである。