私の描く水墨画は、一種の抽象画に近いので、色んな技法を使う。その中でも、手書きだけではできないのがこの網目模様である。樹の入り込んだ絵のようにも見えるが、これは墨をコンプレッサーで吹き飛ばして作ったものである。

2台のピースガンをコンプレッサーに連結させて、一台の方には墨を入れて、もう一方の方は空気だけを出すようにしている。

墨の濃さや種類を変えたり、コンプレッサーの圧力を加減して色んな絵を描いていく。

紙の種類によってもかなり違う。にじむような紙にはこの技法は使えない。ケント紙以上につるつるした紙の方が良いので、自分でドウサを作ってひくことが多い。昔の膠やフノリは、夏場はすぐに腐ってしまったが、近頃の膠は防腐剤が入っているし、フノリも合成品が出ていて日持ちがする。
最近では合成撥水剤を使っている。
墨汁も昔とは違って、子供がお習字で使うようなものでも質が高く粒子も細かく、墨を硯で吸ったものよりより質が安定している。
ただ、つるつるの紙に水墨画を描くとその上を筆で触ると墨がにじんで溶けてしまうので墨を定着しないと箔を貼るバインダーをひくことができず困っていたが、最近ではコンプレッサーでバインダーを定着させている。反対に、他に人は一体どうしているのかと不思議だったが、ネット中を探し回ったが誰もそんな技法を使っていないという事を知った。それとも秘密にしているかである。
次々と描きたいものが頭の中に湧き上がってくるが、それを実現させるための墨の技法となると、ほとんどの場合、名人技の手わざに頼る以外に方法がなかったが、近頃は色んなものが手に入るので、その組み合わせで不可能も可能になることが多い。おかげで、私のアトリエは、実験室の様になってしまったが、それはそれで楽しい。
現在のところ、墨と箔というテーマで描き続けているが、思うようにはなかなかいかない。