地主が、この建物は自分のものだと思い込み建物を解体した場合、故意性はないので刑事事件ではなく民事事件として取り扱うべきであるというのが警察の言い分である。日本では、殺人や傷害など人体に被害が及ぶ重大事件以外では状況証拠による有罪判決は本人の自白無くしては成立しないという。自白が取れないということは故意性はないということと同じだという立場をとっている。日本の司法制度が自白主義だと言われる所以である。欧米では、状況証拠を積み重ね有罪か無罪かを判定している。被告の自白はそれほど重要視されていない。しかし、状況証拠を揃えるのは大変な手間ひまがかかり、効率も悪い。日本では起訴され刑事裁判になると有罪率は99%である。海外では70%台である。日本では起訴率が38,9%で、検察官が起訴する段階で確実に有罪にできる事件しか起訴しないからである。

特にここ最近では悪しき前例主義が横行して、前例のないものは起訴する段階で拒否されて不起訴となる。


建造物等損壊罪は、「建造物の効用を害する一切の行為をいう。」と定義しているのならば、日新プランニングも言っているように「屋根がなく」もはや建物としての効用を害している状態なってしまっているので、これは犯罪である。ところが、日本では自白がなければ刑事事件とはならない。地主もパワーエステイトも日新プランニングもなーんにも知らなかったとうそぶいていれば起訴されることはないと知っている。天地がひっくり返っても彼らが自白することはなさそうである。


しかし、ことが大きくなって、NET中に広がってしまっているので何もしないわけにも行かず仕方なく警察が動くとすれば、現行犯の解体屋さんを起訴するということもありうる。何しろ、やめてくれと建物の持ち主が言っても解体し続けたという事実があるのだから申し開きはできないというわけである。

解体屋さんにしてみれば、何やらヤバそうだとは薄々感じていても、解体工事を発注されたので実行しただけということになる。命令をした上の方は無罪放免なのに、どうして一番儲かってもいない自分たち解体屋が全責任を取らされるのは理不尽だと思うはずである。


今の司法関係者は、前例のないことは起訴しないことにしているらしい。自ら揉め事やトラブルに対して責任を取るのは避けたいのである。また、裁判で負けて無罪にでもなったら検事の成績にも関わる。藪蛇なことには手を出さない主義をとっている。・・・では、どうすればいいのか。


今年で10年目になった裁判員裁判に、この様な事案も取り上げてもらいたいと思うのである。「裁判員制度が適用される事件は地方裁判所で行われる刑事裁判(第一審)のうち殺人罪、傷害致死罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪など、一定の重大な犯罪についての裁判である。」と書かれているが、今回の事案を扱っているのは捜査第1課で、分類としては同じ重大な犯罪に属している。裁判員裁判でなら99%有罪であるような気がする。


刑事事件で有罪となるには真っ黒でなければならないのである。先日もれレイプ事件で考えられないような無罪判決があった。日本の司法制度は全て上の者にとって都合の良いようにできているように見える。地主や大きな企業にとっては日本の法体系は素晴らしいのであろう。

今回の事件の場合、地主やパワーエステイトや日新プランニングを起訴するためには日本の司法の何がどうなればよいのかと考えない日はない。誰か教えてほしい。