映像記憶の強化
視覚で捉えたものを、記憶し再生させるための訓練をする。そのために、デッサンをするときには、何度もちらちら見ないで憶えてから描くこと。慣れてくると、対象物に対して90度の位置に座る。更に慣れてくると、180度の位置、即ち、対象備置と背中合わせの位置で描く。これがなかなか大変。次に、電車に乗ったときなど、これはと思った人を記憶し、電車を降りてから描く。風景生物なども訓練する。今でも、難しい。このようにして描いたものが、段ボール箱に何杯もたまったが、家の引っ越しや建て替え、リフォームの時に捨ててしまったので、現在では、運良く生き延びたほんの少しのものしかない。ぐちゃぐちゃの絵なんかもいっぱいあった。電話しながら、テレビを見ながら、いつでもどこでも描いた。この絵も、インパクトの強い顔だったので描くことができた一枚である。
目を閉じたときに、画像が浮かべば合格。それも、時間とともに、画像も薄れてくる。で、夜寝るとき、目を閉じて、昼間に見たものを思い出して再生する訓練をやる。このとき注意しなければならないことは、網膜に映そうとするのではなく、後頭部の下のあたりに意識を集中すること。
慣れてくると、印象の強かったものを静止画像だけではなく、動画として再生することができる。この絵は、数ヶ月後、記憶で描いたものであるが、よくできていたので保存しておいたものである。
こんな訓練をしていると、いつの間にか、頭の中で絵を描くことができるようになる。それも、かなりのスピードで次から次へと書き直しもできるので大変便利である。近頃では、目を開いたままで、もうひとつの映像をイメージすることができるようになったが、この場合は、後頭部の上の方である。理由はよく分からない。只これらのことは、いつでもというわけにはいかない。バイオリズムの状態がよく、軽ーい集中が、ひらひらと出来る時には、上手くいく。
この訓練は、他に思わぬ効果をもたらした。何時も不眠症に悩んでいた私であったが、上を向きに寝て、後頭部に意識を集中して映像を結ぼうとしていると、3回に1回は、あっという間に意識がなくなって寝入ってしまうのである。何という効用。おかげで、昼間の頭痛が減った。一挙両得とはこのことである。