ねこ子
猫と犬と、どちらが好きかは、ヒトによるけれど、私は、何といっても猫が好き。猫はいろいろ飼ったが、一番最近のケースでは、哀しい思い出がある。道を歩いていると、どこからともなく、猫の鳴く甲高い声が聞こえるので、あたりを探してみたら、家と家の隙間のがらくたの陰で、しきりと鳴き続ける小さな子猫を見つけた。どうも捨てられたらしい子猫を抱き上げてびっくりした。がりがりに痩せて骨と皮しか感じられない上に、汚れて目やにで目を開けることも出来ない有様。それでも、鳴き声だけは必死なのかかすれながらも鳴き続けていた。かわいそうでやり過ごすことは出来ず、家に連れ帰って飼うことにした。黒と白の縞猫で、お風呂に入れてミルクを飲ませて座布団の上で寝させた。名前は、「ねこ子」。なにか猫離れした利発さが際立っていたので、敢えて人間のように「子」を付けてみた。それから、3日も経つと、まるでずっと飼われていたかのようになついてトイレのしつけもあっという間に憶えた。1週間もすると、少しふっくらして、本当に可愛くなって、よくなつき私は喜んでいた。ある日、下の息子が、学校から帰ってきて、座布団を枕にお昼寝をした。目を覚ました息子の顔を見ていったいどうなったのか最初は理解できなかった。まぶたが開けられないぐらい顔が腫れていた。すぐに病院に連れて行って、初めて息子が強度の猫アレルギーだということが分かった。これからどうしょうかと迷っていたところ、その日の夕方、ベランダの高い柵に飛び乗ったかと思うと、あっという間にガレージの屋根に飛び移りそのまま居なくなってしまった。町内中を探しても見つからない。拾った場所の近くも訪ね回ったけれど居ない。それは、まるで、この家には居られないと悟ったかのようであった。夜中に何処かで鳴く猫の鳴き声が「ねこ子」に思われて、パジャマのままで探しに行ったこともたびたびあった。もう帰ってこないのだと諦めるのに1年ぐらいかかったように思われる。その利発な「ねこ子」の幸せを祈って描いたのがこの絵。ホント、こんな感じ。
「ねこ子」・・・・幸せにね。