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旭化成ホームズが実施した地盤調査の報告書を貰ったとき、中を見ても「ヘエ-」という感じで、こんなものは専門家しか理解できないものだと決め込んでいた。その結果、地盤が弱いと言われても、どの程度か具体的なイメージが浮かんでこない。とにかく、どのような基礎を作れば良いのかだけを、教えて貰えば良いのだと考えていた。「地盤改良してベタ基礎」という言葉の内容も、正確には把握していなかったように思う。「地盤改良というのは、弱い地盤を強くすること。ベタ基礎というのは基礎が平面的で総て鉄骨の入ったコンクリートでできている。」 恥ずかしながら、この程度の理解であった。現在は、たくさんの地盤や構造計算の本を読んだので、基本知識だけなら十分に理解しているつもりである。資格試験のある専門職に対してあまりにも過大に評価していた様に思う。ネット検索と書物があれば、最低限の理解は出来るものである。それをしなかったのは、専門知識は難しいという思い込みと面倒だという怠け心であった。お陰で、「後悔先に立たず」を、身をもって知る事となってしまった。

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敷地の4地点でA B C Dの地点で、スエーデンサウンディング試験による地盤調査を行った。この方法は、国土交通省が認定している地盤調査の一つで、とがった鉄製スクリュー状のものを地面にねじ込むときの回転数で地盤の状態を数値で表すことが出来る。その数値がN値である。

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A地点が、新しく建てる建物の中心の近くになる。この表を見ると、深さ2.25メートルから3.25メートルの間に、N値の小さい値だ出ている。自沈とか、ジンワリと書かれてあるが、これは、何も回さないのに先端が沈んでいくということで、自沈層と呼ばれ、軟弱地盤である。

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A、B、Cの地点のN値をグラフに表すとこのようになる。

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D地点のN値をグラフに表示したもの。問題は、これらのデータから、地盤のN値を決めるのが、建築家によってまちまちなのである。しかし、このN値如何によって、基礎の形状やその上のけんぞうぶつの安全性が決まってくるのである。果たして、この地盤のN値はいくらなのであろうか。N値は、4なのか、5なのか、6なのか。測定値の平均値を取るべきか、ちいさい値を取るべきか。それと、土の質も大きなファクターとなる。粘土質か砂質かなどである。ここの土質は、粘度混じりの砂質土である。

国土交通省の「宅地防災マニュアル」では、「軟弱地盤とは、・・・N値3以下の粘性土、N値5以下の砂質土」となっているので、ここの地盤は、軟弱地盤と見なしても差し支えはないのではないかと思う。

しかし、実際に設計施工を手がけた建設会社は、A地点の1メートルぐらい離れた地点一カ所をボーリング調査をし、その結果、N値11で構造計算をして、勝手に確認申請書を改ざんし、地盤改良もせず、ベタ基礎を独立基礎に書き換えて、確認済証を得て、施工してしまったのである。建設会社側は、「この建物は、構造計算上、安全性を保っている。基礎の変更は説明した。」と言い張るのである。その上に、確認書の署名も印鑑も私のものではない。委任状も書いた覚えはない。この建物の残金を支払って引き取れと民事で、訴えてきた。

またしても後悔の念、天井の高さが3メートル無くても、ヘーベルハウスにしておけば良かった。・・・

このような内容のブログを書くのは、実にストレスになる。しかし、この事実の顛末を書いておこうと思う。なぜなら、国土交通省の確認申請の抜け穴を改善してほしいからである。そして、自分が寝起きしている家の地盤と基礎こそが、自分の命を見えないところで支えているのだということを認識してほしいからである。3・11以降、建造物の耐震性が、大きく扱われるようになったが、地面より上の建物だけではなく、地面より下の地盤と基礎の構造にもっと注意を払うべきだと警告したいからである。

出来るだけ、優しい表現で、中学3年生でも理解できるように、私が知り得た建築知識を、時々、ブログで書きたいと思っている。