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朝鮮のマワリセンと日本のマワリセンを比較すると、朝鮮の図柄は天と地の上下がある。日本のマワリセンの図柄は中心をむいている。

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扇の方は朝鮮の扇も中心を向いている。ただ、扇骨はかなり粗雑である。色合いも原色っぽい。絹扇の雰囲気がする。

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片張りの裏側から貼られている。二枚の紙に扇の骨を挟み込む場合でも。骨に糊を付けない。両端の親骨のみに糊付けをするので、あおぐとバサバサと音がする。

穏やかな自然に恵まれた日本にあっては、人間中心の発想はない。自然のままを優先する。幾何学的な発想より自然な破調や揺らぎを尊重する。世界中の扇で日本の扇ほど繊細な物はない。そして、日本文化のどの場面にも扇は登場する。扇は日本文化の架け橋になっている。日本の扇の紙は180度の角度の物は使わない。120度前後の角度の紙を用いる。更に、同心円の紙ではなく少し末広に広がっている。ありとあらゆる所に繊細な美的感性が行き届いている。しかし、時代の急激な流れの中で、作る側も使う側も変化してしまった。もはや、これはと思う扇にお目にかかることは少なくなった。残念である。