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扇形のもので気に入ると買ってしまう。これも、特に面が気に入ったというよりも後ろの扇面が気に入ったのである。手箔の中金が見事に貼ってあったからである。木製の板を磨いて平滑度を上げ、とのこで処理してから、地塗りをして箔押しをしてある。見事な職人技である。一方、上に置かれている面は鋳物で作られた大量生産品。価格の問題もあったであろうが、せめて面にも箔置きをして欲しかった。面を台から外そうとしてもネジが錆びて出来なかった。残念。

で、この面をじっと見ていて、能の「高砂」について、検索した。学生の頃、能楽鑑賞会に入っていたのでだいたいのものは見ていたが、「高砂」は見ていない。本で呼んだだけなので、記憶も朧である。

結婚の宴席などで、この「高砂」の謡曲が詠われているシーンをテレビや映画でよく見る。しかし、全文は知らない。ここに高砂の全文を書いて再考してみる。

「高砂や、この浦舟に帆を上げて、この浦舟に帆を上げて、月もろともに出で潮の、波の淡路の島影や、遠く鳴尾の沖過ぎて、はや住吉に着きにけり、はや住吉(すみのえ)に着きにけり、四海波静かにて、国も治まる時つ風、枝を鳴らさぬ御代なれや、逢ひに相生の松こそ、めでたかりけれ、げにや仰ぎてもことも愚かや、かかる世に住める民とて豊かなる、君の恵みぞありがたき」

なるほど、めでたい詩(うた)なのだ・・・。離れていても心はひとつに末永く、ということかな。