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骨董屋さんで見つけた糊地のお扇子。糊地独特の光沢がある。キラを混ぜた糊を引いた筆跡が残っている。

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糊が引いてあるので、虫が食べたりする。また、両面から糊を何重にもひいてあるので、地紙自体がパリパリして硬いので、山折れのところから切れてくることもある。ただこの技法自体古く、日本の扇の特徴をよく表している。

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この糊地の扇面を今に伝えておられる金井氏の書かれた糊地の解説文を引用したい。

『扇面「糊地」について
扇面「糊地」はおよそ八百年の伝統をつ技法で製造されています。普通現今の扇面は紙を三枚合仕たてで作りますが、この「糊地」の製法は一枚の特殊な楮紙の両面に雲母(キラ)を入れた糊を何度となくまんべんに引き乾燥ののち、その紙の中央を扇骨が通り扇子に仕上げるものです。
かの有名な宗達、光琳等の扇面絵は皆この「糊地」が使用され今に絢爛たる日本の美を残しております。
此の「糊地」は高度の技法を必要と致すため大量には出来ませんが八百年に及ぶ貴重な伝統技術を幾久しく将来へ継承させて頂きたいと念願いたしております。』

此の金井氏に、私も糊地の扇面をたくさん作ってもらった。

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こちらが表。銀の砂子地に墨で絵と人名が書かれてある。

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要(かなめ)はプラスチックではなく、象牙のようなもので出来ている。

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最後の名前は、漱石と書いてあるのかな。銀の砂子が焼けて黒変しているが、かなり粗めの網で撒いている。近頃ではちょっとお目にかからない砂子である。
此の糊地の地紙はいつ誰が作ったものであろうか。