可愛いフクロウを可愛く撮る。
此のように撮ると、まず構図が単調。水平と垂直構図になり変化がないし、フクロウ自体の良さや可愛さが全く伝わらない。
これはフクロウが楕円形の穴の中にいるというシチュエイションが分かる。しかし構図が未だ単調。
やっと構図が変化し始めた。フクロウは頭から尾の先迄見えなくても良い。それでもフクロウの可愛さは伝わらない。
目線が観るものの方向を向くといきいきしてくる。可愛いためにもう少し小さいほうが良いのでは。もう少しひいて写す。
これで、穴の中からこちらを見ている小さいフクロウという物語性が動き出す。小さいフクロウのぱっちり開いた大きな目は誰が見ても可愛い。その上首がかしげていて少し影になったところからおずおず見上げているのも可愛い。可愛いという感情は観る側にとって無害であるということが最低条件となる。此のフクロウは何処から見ても無害である。フクロウ独特のごつい足も見えないし、餌を求めて今にも飛び立とうとしているわけでもない。安心して観ることが出来る。
構図的には右斜め上から左斜め下にかけて弧を描く形になっているが、左下でその重さを受け止めて大きな楕円を形作っている。フクロウの顔の左の鮮やかな赤は近景として中景のフクロウに対峙している。
赤い葉のカゲに見え隠れするフクロウの子供。・・・同じ素材で撮っても工夫のしようでどのようにもなる。此の判断を瞬時にできればプロである。