ミステリアスな「猫の集会」の謎について。
ピンタレストで猫の画像を見ていたら、猫の集会に興味を持った。検索してみたけれど、誰もその理由がわからないらしい。分からないとなったらどうしても知りたいと思うのが人情。そこで、あちこち調べて謎に迫ってみることにした。
まず、猫の帝王と言われるパウル・ライハウゼンという人物について調べる。
1916‐1998年。フライブルク大学で博士号取得。1958年からゼーヴィーゼンのマックスプランク行動生理学研究所で助手を務め、1961年から81年で退官するまでは、ヴッパータールに設立されたマックスプランク行動生理学研究所・ネコ研究グループを率いた。40年以上にわたりネコの行動の研究に従事し、高齢になってからもネコ科動物と分類学を研究するとともに、さまざまな野生ネコ類およびその生息空間の保護に活躍した
彼もまた猫の集会について早くから言及しているが、其の理由については解らなかったようである。
猫の集会を開く~不思議な行動に現れる猫の本能や習性を知る
猫の集会(ライハウゼン版)
オス猫もメス猫もいる
お互いの距離は1.8m~4.5m
たまに舐めたりグルーミングしたりする
基本的にはただ座っている
敵対的な行動をほとんど見られない
時に一晩中続くこともある
真夜中過ぎに自分たちのテリトリーへ帰っていく
ライハウゼンの「ネコの行動学」の目次は次の通り。
ネコの行動学[丸善出版]
I 獲物に対する行動
第1章 獲物への接近
第2章 獲物をとらえ、殺す
第3章 真空活動、獲物の代用物への反応
第4章 殺した獲物の扱い
第5章 羽をむしり、振りとばす
第6章 とらえた獲物を食べはじめる
第7章 獲物を食べる
第8章 獲物捕獲を引き起こす要因と、その方向を決める要因
第9章 イエネコの獲物となる動物
第10章 獲物捕獲行動の発達
a. 獲物を殺す行動の個体発生
b. 殺しのかみつきの定位
c. 獲物との遊び
d. 空腹と獲物捕獲
e. 経験と学習
f. 個体ごとに、種ごとに異なる狩りのテクニックII 社会行動
第11章 未知のネコの出会い
第12章 ネコはネコのどこを見ているか
第13章 慣れ親しんだ空間でのネコの出会い
第14章 雄ネコの闘争
第15章 防御行動
第16章 攻撃と防御の重なり合い
第17章 ネコ類の威嚇と闘争の比較行動学
第18章 なわばり行動と順位
第19章 ライオンの社会生活
第20章 順位と「過密化」
第21章 よく知っている人間に対する行動
第22章 性行動
第23章 子育て
第24章 ネコは本能運動を「自在に」転用する
pinterest nekonosyukai
pinterestで見つけた猫の集会の画像を集めてみた。
珍しい光景で、木の上での猫集会。どこでもいいらしいが何かの通り道は避ける。狭い場所に潜り込むのが好きなネコではあるが、この猫の集会のときばかりは開けた場所に集まる。
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喧嘩もしないし、じゃれ合ったりもしない。ひたすらじっとしている。人間には分からない情報交換でもしているのであろうか。

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猫社会には、上下の関係は殆どないと言われるが、引率役ぐらいのボスはいるかもしれないということである。一体この集会の場所と日にちと時間は、どのネコが決めているのか。回覧板でも回しているのか。
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屋根の上でも猫達は集会をする。只、お互いが見える範囲において。元々、単独行動を好む猫達がお互いのテリトリを超えて集まる不自然さ。集まったところで何もしない。しかし、目的はあるはず。
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猫達は夜にも集会をする。もともと猫は夜行性なので、夜でも目はよく見える。お開きの時もどうやって号令をかけているのか。
pinterest nekonosyukai
これだけ猫達が集まればミステリアスを超えて・・・・。ネコ密度の高い都会や島などにおいて、この猫の集会という現象が見られる。参加するのは、野良猫以外にも家猫もいるし、オス・メスを問わず、歳も関係なく、一定の範囲に住む猫が寄ってくる。もし、これが人間だったら気持ち悪いを超えて恐ろしい。ネコの集会は、夏から秋にかけても夕刻から、夜に掛けてが多いが昼間もある。集まったところでお互い何もしない。1~2時間で掛け声もなく、三々五々散っていく。摩訶不思議な猫の集会。
猫の集会の特質
1・ネコ密度の高い地域限定
2・見通しの良い広場
3・一定の距離を開ける
4・場所とメンバーは決まっている
(子猫は例外)
5・日時の連絡がないのに集合
6・何もせず、じっとしている。
以上のことから猫の集会の目的について仮説を立ててみる。
ネコにとっていちばん大切なことは餌の獲得と繁殖のためのテリトリーの確保。
ネコ密度の高い地域ではテリトリーが重なり合ったり餌場が局限されたりする。
繁殖の相手探しと餌場の争いを避けるために自然発生的にできたのがこの猫の集会ではないか。
連絡は人間にはわからない生物波とか眼力なんかでやり取りしているはず。集会のボスというかリーダーがいるはず。まあ、連絡や号令をかけたりする役のネコがいて、ネコにしか分からないやり方で情報を伝えている。人間なんかでも空気を読むなんてことはよく似たようなものではないか。もっと科学が発達すれば計測できるようになると思う。猫の頭に電極を付けて計測する様になるのか。
猫ですら無駄な争いは避けるのに、今だに武力に訴える人間は恥ずかしい限りではないかな・・・と猫の集会を見ていて考える。