ハチャ「ヨーッ ワーチャ。」
ワーチャ(あーあ、しけた野郎に出くわしたもんだ。まあ、相手してやろうか。)


ワーチャ「ヨッ、久しぶりじゃないか。ここんところあまり見かけなかったもんですっかり忘れていたぜ。俺、近頃忙しくてな。」


ワーチャ「小説家になりたいと思ってね。毎日執筆に励んでいるんだよ。」


ハチャ「な、なんと、ワーチャがシッピツ?小説家?エー・・・ウソッ。」


ワーチャ「お前が、毎日ボーッとしている間、俺は着々と未来を向いて歩んでいるんだよ。」


ワーチャ「将来のために今からなにかやろうと思ったんだけどさ、時間はあるけれど金はないだろ。そこで思いついたのが小説家というわけさ。元手を使わないで当たったら大きいしさ、出版されたり映画化されたら、俺、有名人で金持ちさ。考えているだけで、もう毎日幸せでさ。お前のことなんて思い出すこともなかったなあ。」


ハチャ「えーっ、ワーチャが小説なんか書いてるんだ。見直したよ。で、ペンネームは何ていうんだ。NETを見れば出ているんだろ。ぼく、絶対読むよ。」


ワーチャ「ん、ペンネームねえ、未だそこまでは考えていないんだ。今の所、もっぱら勉強のために小説を読んでいる方が多いかな。「ナロウ小説」って面白いよ。お前も毎日ボーッとしていないで読んでみたら。」


ハチャ「へーえ、そのナロウ小説の何ていう作家のが面白いの?」


ワーチャ「そりゃ、なんてったって『ハチャメチャ』っていうペンネームで書いている作家がダントツに面白いわな。・・・なんかお前とよく似た名前だな。」


ワーチャ「ま、ま、まさか・・・おまえじゃないよ・・・ね・・・」


ハチャ「お恥ずかしい限りですが、それ、ぼくなんです。」


ワーチャ「ウッソー!根暗で、泣き虫で、ヒッキーで、ニートで、で、で・・・いつもうじうじしてたお前があの『ハチャメチャ』だとー・・・そんな、そんな、はず・・・ないっつうの。」


ハチャ「だってえ、ボクにあるのは一人ぼっちの時間だけなんだもん。でも、ごめんね。君が読んでいるとは思わなかったんで、君を小説のモデルにして・・・」


ワーチャ「えーっ、あの主人公のアホで間抜けでブッサイクなやつって・・・オ、オレなん?」
ハチャ「そんなに、びっくりすることないと思うけれど。感情移入しやすかったと思うよ。これからも君のためにも頑張って書くよ。」