今から4年前、血液がんの1種、悪性リンパ腫(Ⅳ期)になってR-CHOP療法を受けた。末期だったこともあって普通なら6クールの治療を8クールもうける羽目になってしまった。先日その時、毎日つけていた日誌が出てきて見返していたら辛かった抗がん剤治療の毎日を思い出した。あの辛さを文章にすることは難しいが、絵かきの私なら視覚化するほうがたやすい。で、画像にしようとするとそれはそれなりに苦労した。以下順次8クールの抗癌剤治療を画像にしてみた。


私の場合、悪性リンパ腫のタイプのうちB細胞由来の腫瘍だったので抗体薬であるリツキシマブを含んだ治療に3種類の抗がん剤(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン)に副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン)を組み合わせたR-CHOP療法を8クールうけることになった。

1クール
3月20日から一回目の治療が始まる。特にアレルギーもなくちょっと寒けがした程度だったが、しばらくしてから急に体中が重くなってきて頭痛とめまいに襲われる。喉も痛くなり膀胱も痛み始める。体中に痛みが広がる。ホッカイロを入れて温めるとましになって寝ることが出来た。
ただ髄注には参った。不安のほうが勝って怖かったが本番はさほどではなかった。週の最後の方から脱毛が始まる。
一期目の抗癌剤がよく効いてあちこちのしこりが小さくなりはじめる。


2クール
脱毛がすすむ。少し発熱もあって第二週目からしんどくなるが耐えられないほどではない。この程度なら何とkなると思っていた。


3クール
前半はトイレが近くなり熟睡できなくて辛かったが、後半はよく眠れて元気になった。
かつらを誂える。


4クール
白血球の値が低くなってG-ラスタ注射。プレドニンのせいで足がむくむ。体毛はすべてなくなる。味覚がかなりおかしく食欲もない。
熱も出始める。手足のこむら返りが激しいが、温めると治ることを発見。」
狭心症の発作も始まる。しかし、まだ、元気な時は散歩ができる程度であった。


5クール
便秘が始まり膀胱も炎症を起こす。G-ラスタの副作用で発熱。何故か狭心症の発作も治らず。唾液や涙の出が悪い。味覚障害はますますひどくなる。血圧も下がってくる。体がだるい。それでもまだ耐えられる程度。


6クール
発熱と狭心症の発作。血管が痛い。体重が10キロ近く減少したので、抗がん剤の量を加減してもらうが、この辺りから起きているのが辛くて仕方ない。
足のむくみと粘膜の乾きに悩まされる。これ以上の抗がん剤治療に耐えられるのか不安になってくる。


7クール
初日あと2クールもあるのかと思うと耐える自信がないぐらい体中の痛みと倦怠感でぐったり。目からも出血して担当医を驚かせる。便秘と下痢を繰り返し、喉の粘膜も痛いのでマスクを外せない。3.5キロぐらいむくんでいるようであるが腎臓への負担になると言って医者は利尿剤をくれないので苦しい。抗がん剤で亡くなるとはこういうことかと思った。体中が痛いのでホッカイロを貼りまくる。夜も眠れない日が続く。


8クール
これで最後だと思うと気が楽になって今後の計画に時間を使っているうちに治療は終わっていた。いつもと同じく発熱と狭心症の発作やむくみなどは前よりもひどかったにもかかわらず楽にやりすごすことが出来た。人間は心で生きているんだとしみじみ感じた。


抗がん剤の投与はなくなっても体の状態はなかなかもとには戻らなかった。体中の痛みとしびれは今も続いている。担当医は「命と引換えだったと思って付き合っていくことだ。」という。


今では味覚も戻って食事が美味しいのだけは幸せである。

がんのサイトや本を読んでいると、「抗癌剤が効いているイメージを頭に浮かべながら化学治療を続けるように」なんてことを書いてあるが、一体どんなイメージなのかと検索するがたいした画像はない。今回、抗癌剤療法の患者から感じたイメージを視覚化してみて、これなら抗がん剤の効果のイメージ画像も作れるような気がするので今後の課題としたいと思う。