電子レンジでのウィルスの消毒は可能なのか。
新型コロナウィルスが流行っている昨今、残り少なくなってくるマスクを殺菌するのに電子レンジがつかえたらいいのにというのでNET検索してみた。
電子レンジはマイクロ波加熱を利用した装置で、このマイクロ波というのは電磁波の一種で、 300MHzから300GHzの波(波長:1mm~1m)のことである。電子レンジはマイクロ波を照射することによって水分子を激しく振動させその摩擦熱で食品を温める装置である。
次のような研究が行われた。日本語翻訳ではイマイチ意味がよく分からない。
J Environ Health。 2006 12月; 69(5):17-24; クイズ39-40。
家庭環境におけるマイクロ波放射による微生物の不活性化。
パークDK 1 、 ビットトンG 、 メルカーR。
著者情報
フロリダ大学、環境工学科、ゲインズビル、フロリダ州32611、米国。
概要
ここで報告された研究では、消費者向けの電子レンジでの微生物(従属栄養プレート数、大腸菌群、大腸菌、細菌の胞子)の生存率を調査しました。 キッチンスポンジ、スクラブパッド、およびシリンジは実験的に廃水で汚染され、その後マイクロ波放射にさらされました。 電力レベルが100%の場合、廃水の従属栄養プレート数(つまり、総細菌数)が1〜2分以内に99%以上減少し、30日後に大腸菌群と大腸菌が完全に不活性化されたことがわかりました。秒のマイクロ波放射。 細菌ファージMS2は1〜2分以内に完全に不活性化されました。 Bacillus cereusの胞子は、試験した他の微生物よりも耐性があり、4分間の照射後にのみ完全に根絶されました。 廃水で汚染された洗浄パッドでも同様の不活性化率が得られました。 プラスチック製の注射器に付着した微生物は、キッチンスポンジやスクラブパッドに関連する微生物よりもマイクロ波照射に対して耐性がありました。 従属栄養プレート数の完全な不活性化には10分かかり、大腸菌群と大腸菌の完全な不活性化には4分かかりました。 2分後にファージMS2の4ログの減少が得られました。 12分後に97.4%の減少が観察されました。 著者は、ガラス容器に入れた注射器の胞子よりも、セラミック容器に入れた注射器のほうがセレウス菌の胞子の不活性化が高いことも観察した。 この発見は、医療機器をマイクロ波放射にさらす際に使用される容器の設計にいくつかの意味を持つ可能性があります。 この記事では、これらの調査結果が家庭環境での消費者の安全性に与える影響について説明します。
上の研究内容をわかりやすく説明したサイトがあった。
フロリダ大学環境工学の教授で廃水細菌学が専門のGabriel Bitton教授らは、共同研究者とともに一般家庭で使われている電子レンジを用いて一般人に役に立ちそうな研究を実施し、その結果を発表しました(J. Environ Health 69: 17 – 24, 2006)。
多くの家庭で汚れたスポンジやブラシを皿洗い機に入れて洗浄しているが、これはほとんど効果がない。皿洗い機から取り出したスポンジやブラシは、いっけん清潔そうに見えるが、汚染はほとんど除去されていない。
そこで皿洗い機の代わりになる殺菌洗浄法を探し、家庭用電子レンジの殺菌能力を調べた。Bitton教授らは、家庭の台所で普通に認められる危険な細菌を大量にふくむ汚水を特別に準備しました。この汚水にスポンジやブラシなどを浸しました。そのスポンジやブラシから搾り出したサンプル液の細菌量を実験開始前に計測し、比較対照としました。同じ汚水に漬けたスポンジやブラシをさまざまな時間で電子レンジにかけ、同じような方法で細菌量を計測して、電子レンジの効果を判定しました。
電子レンジに2分間かけると、死亡事故をおこすような食中毒の原因となるサルモネラや大腸菌、ウイルスや細菌芽胞などの90%は死滅しました。大腸菌群の細菌は、マイクロ波に対して最も抵抗性が弱く、電子レンジに30秒間かけるだけでほとんどが死滅しました。細菌のウイルス(MS2ファージ)は、1~2分間のマイクロ波の照射でほとんどが死滅しました。しかしながら、セレウス菌の芽胞は、最も抵抗性が強く、マイクロ波の照射による不活化には4分間もの時間が必要でありました。
Bitton教授らは、2001年9月11日以降に米国で起こったバイオテロで炭疽菌が使われたが、炭疽菌の芽胞は実験的に使用できないので、炭疽菌の代わりにセレウス菌を用いた。電子レンジに10分間かけることで、セレウス菌の全ての芽胞を死滅できたが、実際には炭疽菌を使用して電子レンジの効果を確認する必要があると述べています。
電子レンジは、金属製の器や水分のない皿みたいなものには使えませんが、短時間に照射されたものの中心から熱くする力があります。そのため合成のスポンジやブラシの類に水を含ませて、適当な時間だけ照射するとその水分の発熱でバイキンは死滅するというのが、Bitton教授らの狙いです。
今回の実験のようにスポンジやブラシの類には、電子レンジは格好の滅菌ツールになると思います。しかし、哺乳ビンなどの容器にも使えるという訳にはいきません。
10年以上も前に私も同じような試験をしたことがあります。細菌の培養液を入れたガラス製の三角フラスコを電子レンジにいれて殺菌ができるかを調べました。フラスコにいれた液量によりますが、電子レンジをかけていると、泡が出てきて、その泡がフラスコからあふれてしまいます。そのために、電子レンジの熱源のスイッチを入れたり切ったりして試験を行ないました。その結果、ある程度の効果はありますが、4分間もの長時間の照射は出来ませんでしたので、完全に死滅させることは出来ませんでした。
ここでいうウィルスとはバクテリアファージのことではないのか。私が知りたいのは新型コロナウィルスが死滅するかどうかということである。
殺菌灯を通販で申し込んだが3週間ほどかかるという。その間にアルコールも残り少なくなりそうである。家庭用電子レンジでウィルスが死滅するならいいのだがはっきりしたことがわからない。細菌は死滅することはよく分かった。細菌は生物であるがウィルスはRNAかDNAのみでできている生物と無生物の間ぐらいの存在。ウィルスを死滅させるためには、RNAやDNAの鎖の結合を破壊しなければならないのか。電子レンジにはその力があるのかどうか知りたいのであるが、はっきりと明言した研究が見つからない。
ウィルスが完全に死滅させたと確認する方法自体が家庭ではできないのではないか。
大学の研究室はたくさんあるのにどうしてこんな役に立つ研究をしているところはないのか。
マスクの金属(一見、金属のように見えても硬質プラスティックのことが多い)を取り除いてから、霧吹きでまんべんなく湿らせてからレンジレンジに入れて1分ほど加熱してみるが、ウィルスは死んでいるのかどうかやっぱりわからない。
ウィルスは約80度で死滅するということであるなら、お鍋に入れて煮てみるのもいいかもしれない。