去年半年をかけて毎日必死で作った「アマビエ写真集」が、2021年1月1日付けでGIGAZINEから出版された。Amazonで販売されている。最初は本にする計画がなかったので気楽な気持ちで作品を作っていたが、作品集にして出版するとなるといろいろな問題が出てきて大変なことになった。特に困ったのが文章。それぞれの章に詩をつけてほしいといわれて四苦八苦した。私と最も縁遠い分野である。妙な文章をつけると、作品を損ねてしまう。最終編集長が少し直してくれたがほとんど変わらない。もっと改変してほしかった。少しでもそれぞれの章の意図が理解してもらえたらと願うばかりである。それぞれの章の詩を紹介。
因みに、下記の詩以外はGIGAZINE編集部が書いた文である。


◆深海
群青の海の空
アマビエたちの青い歌
遠い遠い永遠を
水の流れの永遠を
その藍色の水底で
波間にもれる命のささやき
海鳴りに耳をすませば
あの歌声が交じりあう
海の干満の音階が
夜のしじまにふるえ漂う
ほのかに香る
水底の風
太古の命の生まれいづる所
魚達の鳴き声がかすかにひびく


◆月夜
白き月夜の沈黙に
海のうねりが届く時
月に届けと祈る時
むらさきの哀しみに 月の光がふりそそぐ
こよい月夜に、耳をすませば
宇宙の理がかすかに光る
銀の矢が地球を射抜く
月の光が水底を射抜く


◆予言
この世の破壊と創造を人に伝えて語り継ぐ
魚達の夢
永遠の命の物語
カオスの中から見えるもの
悲しみに沈むプラチナ色の魚達
地球の叫び 地球のふるえ
過去と未来の去来の果てに
藍色の果てしなく流れる時の草
水平線から押し寄せる
未来永劫 流れる時は
万年億年の眠りから
水の流れのリフレイン
何億の昼も何億の夜もまたたく星のひとしずく


◆疫病退散
天と地の間を照らし出す
金色の虹は宙に飛び
暗き水底まで光で満たす
青黒い闇を飲み込んだ
濃き紫にただよう雲も
金の稲妻に霧散する
赤い鬼も、青い鬼も
金の光に逃げまどう
波間の底へと底へと逃げまどう
水底の満月が
くらきものを亡ぼした


◆予兆
地球の動脈、その重力
深くしづかな水底で
赤い叫びが、見える時
かなしみの泡が満ち満ちる
海いっぱいに満ち満ちる
赤い夕陽に交じりあい
ひびきわたる叫び声
生より重い 未知未来
地球の深い隙間から
赤く暗い稲妻が
命を滅ぼす憎悪の泡
燐光のように燃えながら光りながら消えてゆく


◆いやし
銀河をうつす海原に
切ない色の水色に 悠久の流れ 時は流れる
命の流れゆくその先に 時の鎖をより戻す
鏡のような海原に 煌めく波がくだけ散る
宇宙の平衡をつり合わせ 時の流れが動き出す
冷たい波、悲しい波、淋しい波 虹の光に包まれて
月の時計が夜明けをつないで あけぼのの光が広がって
透明の魚達が光って 明るく世界を照らし出す
星の煌めき、月の鈴 調和の歓喜を呼び起す